久保建英、平川怜など「ユース世代」を成長に導く”J3の舞台”が意味する選手の育成
2017年10月11日
インタビュー
“強くて、速くて、うまい”J3の相手を上回るためにユース選手が求められる技術とは
――J3ではユースの選手がおとなに対抗しなければいけませんが、フィジカル差のある相手を上回るにはどうしたらよいのでしょうか。
中村 ユースの選手にしてみれば、J3の試合では、強い、速い、うまい相手に圧迫される局面が多くなると思います。そこでポジショニングを修正しながら最適なポジションどりとは何かを学んでいくことになりますし、ひとつのパスミスが失点につながる経験から精度を高め慎重なプレーを心がけるようになる。トップレベルではちょっとしたミスが勝敗に影響すると、身をもって知ることで、緊張感が増していきます。
たとえば、かんたんなパスでもその強さでよかったのか、ちょっとずれたことで次の選手がやりづらくなっていなかったかと、質にこだわる意識が生じたり。ミスやゆるいプレーひとつでボールを失うと奪い返すのが大変ですから、そうすると攻撃の技術を上げなくてはいけない。個人の技術で言えば、相手のプレッシャーが速いので、周囲を見ておくことが大切です。相手のプレッシャーが速いのであればワンタッチではたくことも必要ですし、フィジカルを強く押し出してくる相手にはコンタクトを磨く以外にも工夫が必要です。一例を挙げれば、久保選手は、すっと早くからだを入れることでファウルを誘ったり、相手がプレッシャーをかけにくるところをワンタッチでかわしたりすることができる。言い換えるとそういうものをまったく持っていない中学生や高校生をプロの試合に出すことはできません。
2004年、中学三年生でJ1に出場した森本(貴幸)選手は、その年代にしては考えられないほどの、高校三年生なみに強いフィジカルがありましたけれども、あれは特別な例だと思います。おとなのなかに中学生や高校生がまじればスピードとパワーで劣るのは当たり前のことですから、そこで相手がどういうふうに飛び込んでくるかを見て感じながらプレーできる能力が、 フィジカル差を克服するうえでは重要になると思います。
――早ければ小学校を卒業して三年後にプロでプレーする可能性が大きくなってきたわけですが、ジュニア世代が近い将来に備えて考えておくことはありますか。
中村 いくらドリブルがうまくても周りが見えないのではけがをするリスクが高まるので上のカテゴリーには出場できませんし、フィジカルが強くても技術が足りない選手は上に上げずに技術を磨いたほうがいいのかもしれません。そのようなスキルが、飛び級によって上のカテゴリーでプレーするときに必要になるはずです。
――最後にあらためて、ユースの選手がJ3に出場している現在の状況をどう感じますか。
中村 学年制が取り払われ、誰にでも可能性が出てきたという言い方はできると思います。FC東京にはいままで飛び級のようなことはほとんどありませんでした。でもJ3でFC東京U-18の選手がプレーしている姿を見れば、中学生や高校生の選手たちは「自分にもやれる可能性がある」と捉えるでしょうし、そうした意識の変化を考えれば、J3でもプレーできる高校生以下の若い選手たちの登場が“垣根”を壊した影響はあると思います。
<プロフィール>
中村 忠(FC東京U-23監督)
日本代表としての経験に加え、読売・浦和・京都で守備のマルチプレーヤーとして活躍。2004年に引退後は、豊富な選手経験を活かし、指導者として幅広い年代の育成にあたってきた。12年にFC東京U-15むさしにコーチとして加入、13年には同チーム監督に就任。U-18コーチを経て、16年7月よりトップチームに活躍の場を移す。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会」で輝いた8人の選手たち/ジュニサカMIP
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは