「変われ!」だけでは子どもは変わらない。指導者が選手たちに示すべき“明確な道”とは
2017年12月06日
コラム日本では、各年代で年間のカリキュラムを考えているクラブやスクールは少ない。しかし、スペインではコーチライセンスを取得するときにトレーニングの計画書を作るそうだ。もちろん具体的なトレーニング内容も記す。日本代表の監督就任時に、ミゲル・ロドリゴは「1〜4年目までの目標と代表活動の項目を細かに発表した」と語ってくれた。つまり、指導者には計画的実行が必須であり、それもなしに子どもたちに歩むべき道を示すことはできない。彼はどんなことをやっていたのか。そして、スペインではどんなことを教えているのか。
【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法
企画・取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、Getty Images

「子どもたちに明確な道を示す」のが指導者の務め
指導者が選手に「道を示す」ことは大事だ。
このことを、選手時代に『ある監督』から学びました。私は現役の頃から「将来、指導者になりたい」という思いを心に秘めていました。だから、練習メニューを毎回ノートに書き留めていました。でも、2週間続けたとき、その『ある監督』の練習メニューをノートに記すことを止めました。なぜなら「毎回、同じ内容だった」からです。例えると、給食と同じでした。
月曜から金曜まで、目の前に同じメニューが並んだとしたらどう思いますか?
スポーツ選手でいえば、食事は体づくりの基本です。非常に大切なものです。タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの様々な栄養を、バランスよく摂取しなければいけないのは十分に理解しています。しかし、いつも同じメニューだとしたら飽きてしまいます。同じ栄養を摂るのにも、違う摂り方がありますし、楽しみながら体を強化していかなければとても辛いはずです。
その『ある監督』の頃は、練習が始まっても「よし、いまからこの練習をしよう」とすらも言われずに黙々と毎回同じトレーニングをしていました。そもそも選手は「何のための練習なのか」という意図をくみ取れなければ、「どこで自らの能力を使い、どのようにプレーしていいのか」がわかりません。大切なことは目標や目的であり、選手が進むべき方向性を示すことなのではないでしょうか。
年齢など関係なく、それを理解して初めて「戦術的には?」「テクニック的には?」などと思考を張り巡らせるものです。いまは行っていませんが、私がスペインで指導者になった初期の頃は選手時代の経験を生かし、毎回その日の練習メニューを作成してロッカールームに置いていました。だから選手たちは「今日は何をやるのか」を把握した上でトレーニングに臨んでいました。それがあるから選手たちも明確に目的を持って練習に励んでいたと思います。それぞれの選手が自分なりに練習から試合までをオーガナイズしていたのではないでしょうか。
「今日はプレスがあるから激しい練習をやろう」
「今日はセットプレーだ」… etc.
ジュニア年代の子どもたちも同様、というより、子どもたちは特に「どこを目指すために、いま何を学ぶべきか」という明確なビジョンを示してあげなければ、間違った方向に進んでしまいます。
前会長の大仁邦彌さんもいましたが、私がフットサル日本代表に就任した2009年の6月、初めてのミーティングで「1年目、2年目、3年目、4年目に何をやるのか」というはっきりとした目標を示しました。もちろん契約期間はありましたが、長く日本で仕事をするつもりでしたからそうしました。
「守備面ではハーフコートでこんなことをやる!」
「最初の代表合宿ではこんなことをやり、次にはこんなことをやる」… etc.
そのような具体的に説明をしました。攻撃面、システムなど様々なことに対して明確なビジョンを打ち出し、「2年目、3年目と、どう積み重ねていくのか」をその場にいたすべての関係者と共有しました。当然、選手は入れ替わります。しかし、代表として歩むべき道はブレてはいけないし、代表チームの核となるものは監督が指し示すものです。だから、2009年から2012年までの計画を明確に立てました。

【2009年から2016年までフットサル日本代表を指揮したミゲル氏。彼は日本フットサル界に「明確な道」を示してくれた。(写真●Getty Images)】
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