地域の子どもたちへの投資は「未来への投資」。“ジャイキリ”で脚光を浴びたいわきFC、育成への取り組み
2018年01月11日
コラム「海外のサッカースクールではお金なんて取らない」
メニューを見れば、いわきスポーツクラブが子どもたちに託す希望がはっきりとわかる。4歳と5歳の『クラス1』、6歳と7歳の『クラス2』は体操や駆けっこ、ゲームなど遊び感覚で体を動かしながら、球技の基礎となる球技系コーディネーショントレーニングも消化していく。
8歳と9歳の『クラス3』、10歳と11歳の『クラス4』となると、実際にさまざまな競技を経験するなど競技の指向性を高め、次世代アスリートの基礎を築くメニューが多くなる。子どもたちは誰でも、無限の可能性を秘めている。だからこそ、体を動かすことの楽しさを可能な限り早い段階から、実体験を通して知ることが大切になる。
だからなのか、クラス別では4歳と5歳の『1』が最も人数が多い。加えて全クラスを通して、男の子と女の子の比率はほぼ半々だ。阿部氏はある女の子の母親から、感謝されたエピソードを明かしてくれた。
「娘が幼稚園のなかで変わったと、喜ばれていたんです。走り方を教わって自信になったこともありますし、選手を含めていろいろな大人と関わることで、いい意味で立ち居振る舞いも変わってきていると」
約400人を収容できる屋根付きのスタンドや、隣接するクラブハウス、いわきFCパークの3階にあるレストランでは、無邪気に走り回る子どもたちを母親たちが笑顔で見つめている。「本当にいい絵ですよ」と目を細めるいわきスポーツクラブの大倉智代表取締役は、現状で毎週水曜日の開催をもう1日増やしていくこともすでに視野に入れている。
施設使用料やスポーツ保険料、アンダーアーマーのTシャツなど指定アイテムの購入で年間1万円前後の費用がかかるものの、アカデミーへの月謝はいっさい無料となっている。これはドームの設立者であり、現在は代表取締役CEOを務める安田秀一氏の提案だったと大倉代表取締役は言う。
「海外のサッカースクールではお金なんて取らない、と。未来への投資という視点でできるかどうか、ぜひともやろうとスタートしたのが『ISAA』なんです」
いわきFCフィールドにはサッカーコート1面の他に、フットサルコート2面も整備されている。まだまだ体を動かしたいのか。クラスを終えた子どもたちがフットサルコートへ移動し、持参したボールを追いかけ始める光景もいまでは珍しくなくなった。
投資に対して、いわきスポーツクラブが思い描いているリターンは明白だ。いわき市出身のアスリートが、さまざまなフィールドで活躍する。10年から20年、あるいはもっと先に待つ、日本のスポーツ界の発展への一助尾になればと心を躍らせながら、種をまき、水を与える地道なトライが積み重ねられていく。
【fch連動企画】いわきFCの果てなき夢
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