「サッカーで一番になれ」。父の言葉を胸に成長を続ける杉本健勇が歩んだ少年時代

2018年03月05日

コラム
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サイドハーフやセンターバックを経験したユース時代

 2005年にセレッソU-15入り。南津守のグランドに通うようになると、レベルの高い環境に日々、驚かされ続けたという。

「3つ上に曜一朗(柿谷)君、2つ上に蛍(山口)君とマル(丸橋祐介)君、1つ上に永井(龍=松本山雅)君とタカ(扇原貴宏=横浜)君がいて、みんなメッチャうまかった。俺が考えたのは『何とかして追いつこう』ってことばかり。1年の時はホンマに全然やった」と杉本は懸命に取り組んだ。

 U-13日本代表合宿で出会った宇佐美貴史(デュッセルドルフ)、宮市亮(ザンクトパウリ)らの質の高さにも闘争心が煽られた。「あいつらに会った時には絶望感しかなかった」と凄まじい衝撃を受けた大型FWはより真剣にサッカーと向き合うようになった。

 セレッソで中2から中3にかけて指導した佐藤貴則監督(現セレッソ和歌山U-15監督)もオフ・ザ・ボールの動きなど目に見える課題を逐一指摘し、改善を促したという。

 その結果、杉本は中3からU-18に飛び級。副島博志監督(現大阪学芸高校監督)の下でプレーすることになった。

 指揮官はFWとしての非凡な才能を感じ取っていたが、守備力の高さをチームに生かすため、右サイドハーフやセンターバックでも起用。その采配を杉本自身も快く受け入れた。

「彼は勝利のために身を粉にできる人間。育成年代と言っても勝つために策を講じることは重要。健勇のように高さや速さ、技術を兼ね備えた選手は滅多にいない。その強みを最大限生かすことはチームにとっても大切だと思います」と副島監督は強調する。

 結果的に杉本はFWとして生きる道を選び、プロキャリアを積み重ねているが、高さという絶対的武器は攻撃時だけに生かされるものではないことを、本人もU-18時代の経験からよく理解しているはず。

 副島監督も「健勇の存在は相手が蹴り込んできた状況を考えても重要です。ロシアを戦う日本代表を見ても190㎝近い選手は吉田麻也(サウサンプトン)くらいしかいない。健勇をメンバーに入れるべきだと私は強く思います」と太鼓判を押していた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も杉本の存在価値を高く評価し、最終予選以降はコンスタントに代表に呼んでいる。

 昨年11月のブラジル・ベルギー2連戦でもジョーカーとして連続して起用。重要な戦力と位置付けている様子が色濃く伺える。

「今の自分は23人に入ってワールドカップに出ることが目標なんじゃない。自分が点を取って活躍し、日本が強豪に勝つことを考えてます。ただ出るだけじゃ意味がない。そのくらいの意気込みで行きたいですね」と本人もロシアへの熱い思いを改めて吐露した。

 少年時代から支えてくれた家族や指導者、仲間たちのためにも、杉本健勇は大きな夢を果たす責務がある。日本屈指の大型FWの今後3ヶ月の一挙手一投足から目が離せない。

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