「運脳神経」を作る7つのルール
2018年06月09日
コラム「生まれつき運動神経が悪い人はいない」。(運動神経は”才能”ではない!? スポーツ上達の秘訣は「脳」にあり)スポーツ科学の第一人者、深代千之氏はそう話します。運脳神経を作る上で、最適な方法は何があるのでしょうか。運動に限らず勉強面でも、意識することで上達が早くなる7つの考え方を紹介していきます。
『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』より一部転載
著●深代千之 再構成●ジュニサカ編集部 写真●佐藤博之
①何度も繰り返す反復練習が大事
運動のみならず、勉強においても、繰り返し練習することは上達の基本です。動きを何度も繰り返せば繰り返すほど、脳のニューロンに電気が通り、確固たる道筋ができます。体力をつけるためではなく、動きのパターンを習得することが目的ですので、疲れすぎないよう練習量を調整しましょう。
②練習の目的を見失わない
動作をやみくもに繰り返すのではなく「この動きは何のために必要なのか」を考え、目的意識を持って取り組みましょう。「このスポーツがうまくなるために、この動きの習得が必要」と、動作一つひとつの意味がわかった上で練習すること。すると、他のスポーツをする際に共通した動きの要素を見出し、過去に習得した動作を役立てることができます。
③たまには休みを取る
練習に行き詰まりを感じたら、その運動から離れることも大事なことです。例えば、自転車に乗る練習で何度も転んでいた子でも、 1 週間休んでから再開したらすぐに乗れた、ということがあります。これは、学習直後よりも一定時間を経た方が記憶の保持量が増加するという「レミニッセンス(記憶改善現象)」によるものです。休んでいる間に、練習でのいいイメージが増幅され、脳の中で昇華されるのではないかと考えられています。
④うまくいった動きは続けてみる
動きのコツをつかんだときは「できた」と思ってやめてしまうのではなく、うまくいった動きを何度か繰り返しましょう。脳には、失敗体験よりも成功体験をより強く記憶する力があるからです。身体を動かすとき、脳からの指令の通り道には、直接手足の筋肉に送られる経路と、小脳を中継して送られる経路があります。さらに、運動後にうまくできたかできなかったかの結果を小脳にフィードバックする経路もあります。
失敗すると小脳への信号は蓄積されず、成功したときだけ速やかに記憶されることで、身体の動かし方は脳内の引き出しに収まっていきます。これを「手つづき記憶」といいます。つまり、運動がうまくなるには、できるだけ多くの成功体験を積むことが重要なのです。保護者などの大人が子どもの様子を見るときには「今うまくいったからもう一度やってみよう」と、成功の記憶を脳に焼きつけるように背中を押すといいでしょう。
⑤身体を動かす時間以外でもイメージ練習
身体を動かしていないときも、上手な人の動きを見て、自分の中の成功イメージを膨らませることが大切です。脳の中では、練習しているときと同じような信号伝達が起こりやすくなります。どんな情報に触れるかはとても大事なことですので、お手本となる先生やコーチの影響力は絶大です。下手な動作はできるだけみないようにしましょう。
⑥よい動作は応用を
テニスが上手だった人は卓球もうまい、野球をやってきた人はゴルフもうまい、というように、ひとつの動作は他の動作につながっていきます。できた動きは他のスポーツへとどんどん応用していくといいでしょう。
⑦結果をしっかり振り返る
がむしゃらに練習するだけではなく、自分の姿を客観的に見て動きをチェックすることも大切です。今はスマートフォンで手軽に動画を撮影できますので、活用しない手はありません。上手な人と何が違うのか、悪いクセはついていないかなどを確認し、気づいたところは修正していく。その繰り返しで、脳の中に悪い動作パターンが定着するのを防ぐことができます。
<プロフィール>
深代千之(ふかしろ・せんし)
1955年生まれ。東京大学大学院・総合文化研究科・教授。東京大学大学院・教育学研究科博士課程修了、教育学博士。(一社)日本体育学会会長、日本バイオメカニクス学会会長、国際バイオメカニクス学会元理事。スポーツ動作を力学・生理学の観点から解析し、動作の理解と向上を図るスポーツ科学の第一人者。
【商品名】子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル
【著者】深代千之
【発行】株式会社カンゼン
四六判/208ページ
価格:1,620円(税込)
☆6歳~12歳こそ、「運脳神経」を伸ばす適齢期
身体を動かして、脳にたくさんの神経パターンの引き出しを作る力。これを「運脳神経」と呼んでいます。
運動神経ではなく“運脳”神経という造語で表現するその定義は、「思い通りの身体の動かし方を身につけるための脳と身体の協調性」です。脳と身体の“協調性”は6歳~12歳の間に磨くのが最適です。本書で取り上げた7つの動き40のドリルを参考に「運脳神経」を伸ばしてください。勉強も運動もできる、スーパーキッズの土台を築くことができるはずです。
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