100%で練習して、100%で休む。元日本代表・鈴木啓太が語るコンディショニングの重要性

2018年12月22日

インタビュー

HANOI, VIET NAM - JULY 21: Keita Suzuki #13 of Japan plays during the AFC Asian Cup 2007 Quarter Final between Japan and the Australian Socceroos at My Dinh National Stadium July 21, 2007 in Hanoi, Viet Nam. (Photo by Koji Watanabe/Getty Images)

食べ物の好き嫌いは将来的に不利になる

――現役時代にコンディションを落としてしまったときの苦労などはありましたか?

「そうなると大変なので日々の管理が大事だと実感します。頭と体が連動しなくなるときがあるのです。いつもならば20cm前に行けていたのが届かなかったりする。すると頭の中で『あれっ、おかしいぞ……』となっていき、『なんでだろう、なんでだろう……』と頭を巡っていることが精神的なストレスになる。とはいえ、そういう状況のなかで自分の引き出しが増えることもあります。プロの世界では100%の状態でプレーできるのは年に3、4試合です。必ずどこかが痛いのが当たり前。そのとき、『コンディショニングが100%じゃないから自分のプレーはできない』となるのではなく、その状況で何ができるのかが非常に大事になります。あまり動かなくても良いポジショニングを取ることを覚えるかもしれないし、周りの味方を使うことを覚えるかもしれない。そのときの自分にできる最大限を探す姿勢が大事なんです」

――海外遠征の際のコンディショニングの苦労や重要なポイントはありますか?

「大事なこととして伝えたいのは、現地の食事を食べられない選手は強くなれないということ。お腹を鍛えて何でも食べられるようにならないといけないし、何を食べているのか理解して体に入れることも大事です。小学生であれば、色々な環境下で色々な食べ物を摂取する経験をするべきだと思います。海外遠征から下痢になって帰ってきてもいいと思います。その経験を次の機会に活かせばいいのですから。今は何でも殺菌することが当たり前の世の中になっていますが、もちろん病原菌はダメですが、本来は体内には色々な菌がいた方がよくて、実は、殺菌し過ぎるのもよくありません。
 
 ただ、殺菌することを大事にしたいのであれば、海外遠征の際に、味噌や麹、納豆などを持参するのはいいと思います。僕が現役だった頃はよく梅干しを持参していました。あとは緑茶も殺菌作用があります。たとえば、中東に行けば暑いので冷たいものを飲んでしまうのですが、同時に温かいお茶があれば殺菌と同時にお腹を温められます。往々にして海外で問題が起きるのは、外傷よりも、免疫力が落ちる内科的なものがほとんど。いかに普段通りを保てるかが海外遠征でのポイントです。ただ、本来であれば『そんなものに頼らなくても全然大丈夫』という逞しい選手でいてほしい気持ちはありますね」

――子どもの頃から好き嫌いがある選手は将来不利になりそうですね。

「間違いなく不利です。何でもガツガツ食べられた方が強いし、僕が一緒にプレーしてきた選手たちはみんな何でも食べていました。そういう選手が代表でも生き残ります。海外に行き、現地の異文化も受け入れ、自分のエネルギーに変えてしまう。良いサッカー選手には本能的な強さが必要だと思うので、子どもたちには恐れずに色々な経験から吸収してほしいと思います」

※全文は12月6日発売の『ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.51』をご覧ください。


<プロフィール>
鈴木 啓太(すずき けいた)

元サッカー日本代表。AuB(オーブ)株式会社代表 取締役社長。サッカー処の静岡生まれ。小学校時代に全国準優勝。中学校時代は全国制覇。高校は東海大翔洋高校へ進学。その後浦和レッズに加入し、早々にレギュラーを定着する。2015年シーズンで引退するまで浦和レッズ一筋のバンディエラ的存在に。2006年にイビチャ・オシム監督が日本代表監督に就任すると、日本代表に選出され、初戦でスタメン出場。”水を運ぶ選手”として重宝され、オシムジャパンで唯一全試合先発出場を果たした。


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≪特集≫サッカー上達のカギは『コンディショニング』にある! 『練習しすぎ』が子どもの成長を奪う

●元日本代表が語るコンディショニングの重要性/鈴木啓太(元浦和レッズ)
●練習しすぎが引き起こす『オーバートレーニング症候群』の危険
●突然起こる身体の不調の正体『クラムジー』とは
●マンガでわかる『オーバートレーニング症候群』
●『回復もトレーニング』アクティブレストの実践法とは
●お風呂博士に聞く! 疲労回復につながる『入浴』と『睡眠』
●食べて強くなる! サッカーメシ 試合前後の食事のコツ
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●『ウォームアップ』と『クールダウン』の正しい方法

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・室屋成(FC東京/日本代表)

●FCバルセロナでイニエスタを育てた男が語る サッカーに必要な『知性』
アルベルト・ベナイジェス(ヴィッセル神戸アカデミーアドバイザー)

●ジュニア女子サッカーを応援しよう! ~女子サッカーの未来~
籾木結花(日テレ・ベレーザ/なでしこJAPAN)

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●『チーム作りのプロセス』バルサにあって日本にないもの
●選手の自主性を育む『声掛け禁止』 イングランドの独自ルールの実態
●目的から考えるミニゲームの作り方
●サッカーが上手くなる『速読』の秘密/石井真(『楽読』インストラクター)

 

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