元日本代表・森岡隆三氏が語る“中高一貫校”でサッカーをするメリットと文武両道【PR】

2019年04月18日

進路選択

今、中学受験を考える時期。お子さんは大好きなサッカーを続けたいと言っています。しかし、親としては勉強をおろそかにして欲しくない。子どもには、どんな環境を提案すればいいのでしょうか? 思い悩む親御さんは少なくないはず。選択肢の一つに、私立中高一貫校があります。6年続きの中学、高校の部活動でサッカーをするメリットは何か? ご自身も私立中高一貫校を卒業し、日本代表のキャプテンにまで上り詰めた森岡隆三さんに、学生時代のお話を伺いました。

取材・文●清水英斗 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部


29 Oct 2000:  Japan captain Ryuzo Morioka lifts the Asian Cup Trophy after the Final against Saudi Arabia played in Beirut, Lebanon. Japan won the game and trophy with a 1-0 win.  Mandatory Credit: Stanley Chou /Allsport
■プロフィール
森岡隆三(もりおか・りゅうぞう)
1975年10月7日生まれ、神奈川県横浜市青葉区出身。地元のサッカーチーム・青葉台YMCAから私立桐蔭学園中学校に進学。そのまま桐蔭学園高校に入学後、当時のサッカー強豪校には例の少ない「内部進学生」としてサッカー部に入部。高校時代にDFにコンバートされ、頭角をあらわす。プロ入り後は、主に清水エスパルスの中心選手として活躍し、日本代表に選出。当時の日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ氏の代名詞といえる「フラット3」の中心選手として活躍。2002年には日韓W杯日本代表に選出されチームキャプテンを務めた。現役引退後は、指導者や解説者として活動している。

勉強でも負けたくない気持ちがあった

――森岡さんは受験をして、私立中高一貫校に入学しました。なぜ、その選択に至ったのでしょうか?

森岡 私にとって大きかったのは、兄の存在です。私は兄の影響で3才からボールを蹴り始めたのですが、2つ上の兄は、ヴェルディのジュニアユースにセレクションで受かるほどの実力者でした。中学校は受験して私立中高一貫校に進学し、サッカーはヴェルディでプレーする。夢のようというか、私にとっての兄は憧れの存在で、勝手にライバル視していました。

 でも、子ども心ながら、徐々にわかるんですよ、このままだと兄のようになれないなと。小学生時代は青葉台YMCAというチームに所属していましたが、いわゆる強豪チームとは差があり、個人的にも大したプレーは出来ませんでした。決定的な出来事もあって、千葉の柏イーグルスと試合をしたとき、10−0でボコボコに負けました。点差もだけど、内容はもっと厳しかった。水たまりが無ければ30点くらい取られた試合で、個人的にも何も出来なかった。「これが全国レベルか…」と思ったのを覚えていますね。相当なショックでした。

 それから、もっと上手くなりたいという思いは持ち続けながらも「兄が受験をしたなら自分も」という意識で、受験モードに切り替わりました。5年生からは塾にも行き始めましたね。もともと勉強は嫌いじゃなくて、テストで良い点をもらえると、素直にうれしかった。サッカーで練習をして、良いプレーができるようになるのと似た部分があったのだと思います。

 そして受験に受かったら、他チームのセレクションを受けるのをやめよう、中学のサッカー部で頑張ろう、と決めました。「勉強が大変だから」を言い訳にしながら、自分の自信の無さを隠していたんかなぁと。セレクションを受けて落ちるのも嫌で。サッカー面ではいちばん辛かった時期かもしれないですね。挫折感があって、サッカーで進む道が、見えなくなっていました。

 親父にも言われたことがありました。夕飯で進路の話になったとき、「隆三はサッカーじゃ厳しいから勉強だな」と。兄はヴェルディで全国大会へ行っては常にメダルをもらって帰ってくる。いつも比べられていました。だから挫折感、悔しさ満載の中で、勉強では負けない、という思いで中学受験に臨みました。後にこの話を親父にしたら忘れてましたが、おかげで良い集中力で臨めました(笑)。

 それまでの友達と別れて、受験をするのは寂しい思いもありましたが、地元の中学という選択肢は僕の中に無かったのも、兄に憧れていたからだと思いますね。憧れと対抗心。兄が受験で受かったんだから、私も受験では絶対、と。

――実際、入学してみて、どうでしたか?

森岡 1学年550人。いろんな設備が整っていて、英語や書道も専用の教室で授業があり、一気に世界が広がった気がしました。新たな友人が出来、いろんな価値観に触れ、そこで色々な経験をさせてもらいました。

 例えば、ホームルームはありながら、教科によってテストの点数で、上下数人はクラスが入れ替わるというシステムもありました。それが意外とね、嫌いじゃなかったんですよ。面白くて。

――スポーツ好きの子どもだと、周りに勝つとか、ポジションを奪ってやるとか、そういう競争心がテストでも出ますよね。

森岡 そうそう。そのゲーム性が好きだったんだと思います。子どもの頃の勉強って、学んだ知識が大人になったときにどう使われるとか、あまり考えていませんでしたが、中学のクラス分けでも、良い点を取ることは一つの目標になる。今思えば、その目標に向けて計画を立て、実行し、評価、改善、いわゆるPDCAサイクル(PLAN・DO・CHECK・ACTION)を回すことによって成長、良い結果を得る、その過程が楽しかったんだと思います。

――そうやって文武両道の日々を送ったんですね。

森岡 そうですね。ただ、サッカーは厳しい現実が引き続き待っていました。まあ、勝てない。県大会にすら出られないこともありました。当時は育成でリーグ戦という概念がない時代だったので、公式戦は全てトーナメント。春、夏の主な大会で1、2回戦で負けると年間の公式戦は片手で数えるほど…という時代。なかなか勝てないチームでしたが、それでもチームメイトとも休みでも集まって練習するなど、良い仲間に恵まれた中学サッカー時代でした。

――しかし、高校から環境が激変します。

森岡 そこから一転、高校は桁違いに強かった。李国秀さんが監督に就任してからは、県大会で勝つなんて当たり前。当時の日本にしては驚くほどのパスサッカーで、守備も整備されていました。中学時代「うわー、かっけえなー!」と外からチームメイトと眺めていたのですが、「これ、どうやったら入れるんだ?」という話になりました。

 そのときの高校サッカー部は、スポーツ推薦と練習参加以外は受け入れず、内部進学生は同好会に回ることになっていました。でも、それだと試合もあまり出来ないので、中3の冬頃、友人たちと一緒に監督に話をしに行きました。「練習に参加させてださい」と。

――李監督に直談判したわけですね。緊張感のある方ですが。

森岡 相当な覚悟、勇気は要りましたよ(笑)。一人じゃ行けなかったと思います。一緒に行った友人たちには感謝ですね。その後「君は明日から来なくていいよ」と、一人ずつ減っていき最後は私一人になりました。

――サバイバル…。

森岡 だから自分がいつサッカー部に入ったのか、わからないんですよ。冬が終わって春になったとき、遠征があると。監督のところに「僕も行っていいんですか?」と聞きに行ったら、周りの先輩たちが笑いながら、「お前もうチームの一員だろ?」って。

――かっこいい。

森岡 本当は中学最後の春休みだから、卒業旅行を計画していたんですよ。サッカー部ではない仲間とスキーへ行こうと。でも、「お前バカ絶対来んな」「そこは勝負所だから頑張って来い」と言われて。

――いい話だ。青春だ!

森岡 でも本人たちは相当、スキー楽しかったらしいです(笑)。中学時代はサッカーではなかなか勝てなかったけど、サッカー部、クラス共にいい仲間に恵まれたなと思いますね。

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サッカーも勉強もどれだけ「PDCA」をうまく回せるか

森岡 何とかサッカー部に入ってから、高校ではずっと必死でした。所々では友人たちとの学園生活も覚えていますけど、本当にずっとサッカー漬け。勉強は中学のときはしっかりやったけど、高校では…。李さんのサッカーは、徹底的に頭を使うので、1年目は勉強する余裕が全く無かったんです。100点筆記、100点マークシートの計200点満点のテストがあって、僕は一生懸命やって18点、マークシートは9点の1650人中1648番。適当に塗りつぶした奴にも負けました。これはやばいと心から思いました(泣笑)

――高校では完全にサッカーですね。それがプロへの道を切り開いたわけですが。

森岡 ただ、勉強もサッカーも、リンクするところは絶対にあると思っています。ここ数年ずっと言われているけど、言語能力、ロジカルシンキング。勉強で良い点を取るためには、自分なりに課題を見つけて、細分化する。自分に何が必要かを見つけ、PDCAをうまく回せるか。当然だけど、それはサッカーの練習も同じです。自分がすべきことを見つけ、考え(計画し)て実行し、工夫して、また考えて、改善し、積み上げていく。そういう習慣があったという意味では、僕にとっては勉強が役に立ったと思いますね。

――生きる力を育てるという意味では、サッカーと勉強は似ていますね。

森岡 そうだと思います。もちろん、その中で得手不得手はあるし、それは好き嫌いなのかもしれない。だけど、意外とやってみれば、うまくやれるなと思った瞬間に楽しくなることもあります。

――森岡さんは、嫌いなことがあったんですか?

森岡 それこそサッカーで言えば、守備ですよ。小学校のときは守備なんか大嫌いで、ボールをもらえば、まずシュート。次はドリブル。それしかない。一人遊びですよ。

 でも、高校ではスタートからサイドバックでした。キックの技術や、まめな性格を評価して、というより空いてるポジションがそこだったということだと思います。最初は守備のポジショニングとか、何を言われているのかも全然わからなかった。例えば「離れんな!」と言われても、その意味がわからない。だけど、相手が縦に流れてきたとき、前を向かれたらやられるので、がんばってついて行ったら、意外と上手く対応できたことがあり、そこで褒めてもらえた。あーなるほど、そういうことかと。その積み重ねですよ。「なるほど」が増えると、どんどん面白くなってくる。

 決定的だったのは、1対2の練習。最初は守備を考えるという感覚、習慣すら無かったので、ボールを取りに行けば、かわされる。一生懸命取りに行く、かわされる。そのとき監督に言われたのが、「いつボールを取るんだ。いつ足を出すんだ?」。いつ? いつだ? と考えたら、相手の足からボールが離れた瞬間だと。出させて、取るんだと。

「出させて取る」。そこから先、守備がどんどん楽しくなる要因となった、監督から学んだ一つのフレーズでした。守備の醍醐味ですよね。例えばサイドバックで中から外へアプローチに行く際、自分のマーカーに対して、相手がパスを出すタイミングを読んで、まるで自分へのパスのように取りに行く。「面白い、守備!」となった。

 コントロールとかも全部そうですね。相手FWにボールが収まってしまったら、ガブガブ行っても、取れない。相手が反転した瞬間、足から離れた瞬間に、スッと足を出して取る。守備を考えるようになり、注意深く状況をよく見るようになった気がします。あまり好きではなかった守備が大好きになって、結局、それがプロ選手として仕事になったわけですから。どこでどうなるのか、わからないなと思いますよ。

29 Oct 2000:  Ryuzo Morioka of Japan chases down Sami Al Jaber of Saudi Arabia during the Asian Cup Final match at Sports City in Lebanon. Japan won 1-0.  Mandatory Credit: Ben Radford /Allsport

――その後はDFとして成長し、高校でレギュラーになり、全国で活躍し、Jリーガーになり、日本代表にも選ばれ、ワールドカップにも出たほどです。

森岡 環境設定って、すごく大事だなと思います。最初は兄貴という存在がいて、高校でグッとハードルを上げられて、それに慣れたらプロのステージ。いつも適度にハードルが上がる。いや、適度じゃないんですけど(笑)。周りはとんでもない選手ばかりで、いつも一生懸命について行くだけ。その繰り返しでした。

 周りの大人が、私をいつも適度な場所に置いてくれたなと。そして、僕自身は「なんでうまくいかないんだ!」を、「どうすればできるか?」と考えながらやってきたのがよかったのだと思います。また私はずっと自分に自信がなかったので、だからこそ謙虚に、そしてポジティブに続けられたんだと思います。

――森岡さんの場合、高校で環境の激変があったわけですけど、学校が中高一貫だったことはプラスでしたか?

森岡 これは一般的に良いのか悪いのかわかりませんが、私的には最大のメリットは高校受験がないことでした。たぶん私は受験をしていたら、サッカー部に志願し練習をさせてもらうことは出来なかったし、入ることはなかったはず。そのぶん、普段の定期テストは厳しかったですけどね。

 トータルで見れば、僕にとって中高一貫は良い方向に進んだと思います。いわゆる心理的安全性ですね。6年共通の友人だったり、先生だったり、親だったり。真ん中に受験のプレッシャーがなくて、みんな6年スパンで見てくれる。伸び伸びチャレンジできる環境はあったと思います。小学校のときに受験をして、そこで力を入れたのはあるけど、あれが中3の終わりに来たら、個人的には大変だったなと。

――森岡さんにとっては、タイミングがはまったんですね。

森岡 そうですね。学校は勉強するために行くんだけど、たくましく生きるスキルを学ぶ場所でもあると思います。僕にとっては、友人たち、先生方、監督やコーチとのコミュニティー、人間関係も含めて、本当にバランス良く養うことが出来た。そしていつの間にかサッカーが生きるためのスキルにもなった。かけがえのない6年間だったのかなと思いますね。


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