なでしこジャパンメンバーの「経歴を見る」。衝撃的なバンディエラの落選。それでも“川崎王朝化”の歩みは止まらない

2019年05月17日

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日本サッカー協会は10日、6月7日に開幕する『FIFA女子ワールドカップ フランス2019』に出場するなでしこジャパンのメンバー23名を発表した。なでしこリーグ4連覇中の日テレ・ベレーザから大量10人が選出されるなか、昨年のリーグMVP&3年連続得点王のFW田中美南がまさかの選外に。高倉麻子監督が“個による打開”ではなく、“コンビネーションによる打開”を優先した形だ。ジュニア年代の所属クラブから傾向を読み解くジュニサカ「経歴を見る」にとってもバンディエラの落選は一大派閥の勢力を削ぐ形に。だとしても、「日本サッカー界が“川崎王朝化”へ歩み出している事実に変わりはない」と、ジュニサカ編集部に突如現れ、「経歴だけでご飯三杯はいける」と豪語する『経歴ジャンキー“I”』は分析する。

文●石沢鉄平/ジュニサカ編集部経歴班 写真●Getty Images


 
川崎トリオ
【本来はカルテットになるはずだった左から宇津木瑠美、三浦成美、植木理子の川崎トリオ】
  
宇津木、三浦、植木はいずれも川崎の強豪クラブ出身
      
 ピッチに立てるのは言わずもがな11人。同じクラブから10人が選出されたにもかかわらず、それもバンディエラただ一人メンバー漏れした事実はやはりメガトン級の衝撃度だ。ましてその田中美南(川崎ウィングスFC→日テレ・メニーナ)が神奈川県川崎市のクラブ出身だというのが「経歴を見る」的にもややこしい。
    
 リーグ3年連続得点王が選ばれていれば、川崎のクラブで育ったなでしこは4人にのぼった。DF宇津木瑠美(川崎ウィングスFC=高津区)、MF三浦成美(FCパーシモン=麻生区)、FW植木理子(AC等々力=中原区)。ここに宇津木と同じ川崎ウィングスFC出身の田中も名を連ねるはずだった。
 
 しかし、田中が抜けたとしても、ポジション、クラブ所在地どちらをとっても抜群のバランスである。宇津木は川崎フロンターレジュニア(現U-12=中原区)でもプレーし、三浦もフロンターレと肩を並べる強豪FCパーシモンで研鑽を積んだ。まして、ともに当時のチームメイトが全員男子だったというから恐れ入る。植木が通ったAC等々力には“マーメイド”の愛称を持つ少女クラスがあったが、毎年のように川崎市トレセンと神奈川県セントラルトレセンに選手を供給している。
  
 男子に目をやっても川崎の二文字が躍っている。A代表デビューが近いとされる久保建英(FC東京)は三浦と同じFCパーシモンが出自で、なでしこよりひと足先に発表されたU-20日本代表の最年少・斉藤光毅(横浜FC)も川崎市宮前区の犬蔵SC育ち。加えてJ1リーグを川崎フロンターレが連覇中というトピックを付け加えれば、日本のサッカー王国は静岡県から神奈川県、それも川崎市へ移行しつつあると言わざるをえない。 
   
田中&遠藤
【高倉監督は田中美南㊧ではなく同郷の遠藤純をラストピースに選んだ】

“23番目”の遠藤は監督の辿った経歴を彷彿
  
 ここはあえて執拗に“田中ロス”で話を進めたい。代表発表会見で最後の23人目に名前を呼びあげられたのが、同じくベレーザ所属の18歳・FW遠藤純だった。遠藤がジュニア時代に所属していたのはVamos福島ホワイトリバーFC。福島と聞いてピンときた読者はなかなかの経歴通だ。そう、高倉監督も福島県福島市の岡山SS出身だった。また、福島からベレーザという流れもウリ二つである。
  
 遠藤は小学校卒業後、JFAアカデミー福島に進む。しかし、原発事故の影響で練習場であるJヴィレッジが閉鎖され、静岡県の御殿場市で中高6年間を過ごした。思い起こせば東日本大震災が起こった同じ年になでしこジャパンは初めて女子ワールドカップの頂点に立ち、今年4月20日にJFAアカデミー福島のホーム・Jヴィレッジが再開したのちに代表に選ばれた。それも大トリの23番目に…。
  
 と、ドラマチックなことをネチネチと書き連ねながら言うのもアレだが、センチメンタルな選出と邪推するのは野暮というもの。単純明快、高倉監督はU-17女子ワールドカップ準優勝、U-20女子ワールドカップ優勝に貢献した左サイドを切り裂くスピードスターの可能性に賭けたわけだ。現時点で田中以上の“何か”があったと思うほかない。
  
 なでしこのワールドカップは6月10日のアルゼンチン女子代表戦で幕を開ける。もし、このフランス大会で遠藤がセンセーショナルな活躍をすれば、その経歴をフィードバックして「高倉監督の秘蔵っ子」とメディアは騒ぎ立てるだろう。もしそうなったとて、日本サッカー界の“川崎王朝化”への歩みが減速することはない――と当欄は自信を持って言える。
  
 招集メンバーは以下のとおり。カッコ内はジュニア年代の所属チーム。
  
GK
池田 咲紀子(浦和ラッキーズFC)
山下 杏也加(KSC加平ポニーテール/東加平キッカーズ)
平尾 知佳(六実SC/松戸FC)
 
DF
鮫島 彩(河内SCジュベニール)
宇津木 瑠美(川崎ウィングスFC/川崎フロンターレジュニア)
熊谷 紗希(真駒内南SSS)
三宅 史織(真栄SSS)
清水 梨紗(神戸コスモFC/FCすすき野レディース)
市瀬 菜々(川内南SS)
宮川 麻都(大豆戸FC/Y.S.C.C.コスモス)
南 萌華(吉川ホワイトシャークSSS)
 
MF
阪口 夢穂(下野池少年サッカースクール/サウスフリーウインドFC)
中島 依美(野洲ジュニアFC)
籾木 結花(バディFC)
長谷川 唯(戸田南FCSSS/戸木南ボンバーズFC)
杉田 妃和(二島藤木FC)
三浦 成美(富士見台FC/FCパーシモン/横浜ウインズ)
 
FW
菅澤 優衣香(FC幕西)
岩渕 真奈(関前SC)
横山 久美(17多摩SC/欅SC/鶴牧SC)
小林 里歌子(若草SSC)
植木 理子(AC等々力/日テレ・メニーナ・セリアス)
遠藤 純(Vamos福島ホワイトリバーFC)
   

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