サッカー指導者は、サッカーを通して子どもたちに何を伝えようとしているのか【サッカー外から学ぶ】

2019年07月18日

育成/環境

  
   
サッカーコーチは10歳以降に存在感を増す“外の師匠”になれる! 
   
「サッカーを子どもたちに教える。そのことを通して、自分は何をしようとしているのかをきちんと言語化することが大切だと思います。『俺はサッカーをやってきて、サッカーに関わりたいからサッカースクールをやる、コーチになる』みたいな気持ちではなく、それを通じて何をしたいのかを言葉にできるくらい考えてもらいたいんです」
 
 高濱さんは、子どもたちにとってサッカーコーチのような立場の大人、“外の師匠”の存在がとても有益で、重要だと著書の中でも繰り返し述べている。“外の師匠”は、特に10歳以降、ジュニアからジュニアユースに向かっていく高学年でその存在感を増していくという。
 
「自我が芽生え始める10歳からは、親に言われて何かをする時期じゃないんです。そこで、“外の師匠”であるスポーツのコーチ、サッカーコーチが重要になってくるわけです。お伝えしておきたいのは、幼児期のコーチのあり方と10歳以降のコーチのあり方は別ですよということ。子どもたちが親元から離れ、“外の師匠”を必要とする10歳以降は、ある意味重い責任を負う立場になります。思春期の子どもたちが伸びる教育の仕組みをわかっていないと、そのときに子どもたちを伸ばすことはできません。
 
 指導者をやっていれば、教え子の中にいいチーム、いい高校に行ったり、プロになったりする選手が出てくるかもしれませんが、もともとすごい子はすごいんですよね。指導者はプロ選手を育てたことを言うのではなく、もともとプロになるような選手のポテンシャルを十分に伸ばせたのか? ということこそ気にすべきです。サッカーを自ら面白がって、絶えず自己改革しながら成長していった“その子”を、本当に伸ばすことができたのか? そのためには教育についても学ぶ必要があるのではないかと思います」
 
 9歳以前と10歳からの違いについては、高濱さんの著書でたびたび登場する。高濱さんは、3歳から9歳くらいまでの“つ”のつく年齢を“赤い箱”、10歳をグレーゾーンとして、11歳から18歳くらいまでを“青い箱”と表現している。
 
「いわゆる幼児期と思春期ですよね。昔から言われていることを体感的に切り分けたら、この箱の区分になったということです。10歳あたりをグレーゾーンにしているのは、個人差があるから。いわゆる第二次性徴を思い浮かべてもらえればいいと思います」
 
 年齢だけでなく、個人差もある。もちろん男女差も多少は考慮しなければならない。
 
「基本的に男女の違いはあります。精神年齢は女の子のほうがずっと上だし、見ているものが違う。少しお話しすると、女の子は人間関係で世界を見ている。男の子は“ドッカーン”“ピューン”みたいな目に見えるすごさに目を向けている。当然、接し方も変わりますが、大枠としてはどちらの箱にいるのかで考えていいと思います」
 
 今回は教育的な見地から“外の師匠”としてのサッカーコーチにとって、ためになるお話をいただいた。次回は、ジュニアサッカー界でたびたび議論となる「勝利至上主義」について、教育の視点から語っていただく。


【連載】「サッカーを“サッカー外”から学ぶ重要性」


<プロフィール>
高濱正伸(たかはま・まさのぶ)
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。1959年、熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。93年に「メシが食える大人に育てる」という理念をもとに学習塾・花まる学習会を設立。算数オリンピックの委員、日本棋院の理事も務める。『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春出版社)、『小3までに育てたい算数脳』(健康ジャーナル社)など著書は多数。 


 

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