初出場ながらJクラブにも“個”でわたり合ったFC LAVIDA。昌平高と連動し、共有される育成哲学
2019年08月29日
育成/環境
【FC LAVIDA 村松明人監督】
個でもグループでも戦えるように
では、なぜ創設8年目にして全国舞台に顔を出し、ベスト8の快挙を成し遂げられたのか。それは選手へのアプローチを変えた点にある。
前述の通り、チームは昌平高の流れを組んでいる。だが、以前は現在ほど個人技を重視していなかった。そのスタイルを見直すきっかけとなったのが、2016年の夏だ。
昌平高がインターハイに初出場。松本泰志(現・サンフレッチェ広島)、針谷岳晃(現・ジュビロ磐田)といったタレントを擁し、4強入りを果たした。もちろんチームにとって大きな自信になったのは間違いないのだが、その準決勝で杉岡大暉(現・湘南ベルマーレ)、原輝綺(現・サガン鳥栖)のいた市立船橋高に1−0で惜敗。勝負に徹する姿勢や球際での強さは一枚上手で、グループに加えて個でも戦えなければ、“日本一”が見えてこないと痛感させられた。
「どうしてもグループというのが強かった。今は個があってのグループ。グループだけでサッカーができないわけではないけど、個でもグループでもできるようにしたいし、個人でできないと全国で負けてしまう」(松村監督)
高校生の体験談はすぐさまFC Lavidaにも共有された。どうすれば、勝てるのか。以降、チームはグループで戦うだけではなく、個のスキルを磨く作業にも注力していく。
現在のチームトレーニングも個人技にフォーカスされている。
「僕たちの練習は対人戦が多い。守備がしっかりやれば、攻撃を増さないといけない。そういう高め合いでやってきている。2対2とか4対4、あとはゲームをよくやっていますね」(佐藤)
もちろん、結果を出したことは下部組織の注目にも繋がった。埼玉県近郊の有望株が門を叩くようになり、入団する選手の質も以前と比べて、見違えるように上がった。そういう意味で今の最上級生はインターハイ4強の翌年に入ってきた選手たちばかり。今年は集大成でもあっただけに今回の8強入りは大きな価値があった。実際に選手個人を見ても、主軸の佐藤が今年4月のタウンクラブ・中体連キャンプで存在感を発揮。その後、U-15日本代表に招集され、チームとしても個人としても上で通用する選手が育っていることがうかがえる。
初出場で大きな爪痕を残した。だが、クラブはベスト8に満足するつもりはない。Jリーグの下部組織に屈し、全国を取れなかったからだ。「反省点はフィニッシュの精度。キックも含めて、もっと磨かないと全国の上位には行けない。選手を輩出していくには物足りない」と村松監督も話す。
今回の負けをきっかけに何を感じ取ったのか。3年前のターニングポイントがチームを変えたように、一夏の経験を生かせれば、FC Lavidaがもう1つ上のステージに駆け上がる可能性は十分にある。
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