「ポジショナルプレーはフットボールにおける一つの攻略本」という説
2020年04月23日
戦術/スキル2017-18シーズンにプレミアリーグの最多勝ち点記録を樹立して優勝を果たし、2018-19シーズンには2連覇を達成したマンチェスター・シティ。稀代の名将、ペップ・グアルディオラが率いるドリームチームはなぜ強かったのか。4月22日に発売した『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』から結城康平氏(『欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて』著者)と龍岡歩氏(『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』監修)による“ポジショナル賢者対談”を一部抜粋して紹介する。
『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』より一部転載
構成●編集部 写真●Getty Images
ポジショナルフットボールとは何なのか?
結城 本書の表紙を見た瞬間、ペップ・グアルディオラがスティーブ・ジョブズに見えました(笑)
龍岡 確かにビジネス本のコーナーに置かれてしまうのではないか、という心配が……。
結城 龍岡さんは日本トップレベルのペップ狂です。ポジショナルフットボールの概念をどう捉えていますか?
龍岡 ペップは常々、自分が考える理想的なフットボールは「相手を見て、立ち位置とプレーを決断するフットボール」と言っています。ポジショナルフットボールはこれを具現化したものだと考えています。『欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて』(ソル・メディア)を上梓された結城さんはいかがでしょう?
結城 僕の解釈は微妙に違っていて、相手と味方とボールの位置に応じて選手の立ち位置が決まるのかな、と。味方とボールの位置関係をベースに三角形を作って、パスコースを増やしていく「相手に依存しない」位置関係も存在しているのかな、と考えています。
龍岡 では、ペップはなぜこのような思考になっていったと思われます?僕はヨハン・クライフ監督のバルセロナ時代にペップが培った概念が、いま「ポジショナル」というトレンドワードを元に話題になっていったという考えを持っています。
結城 確かに何かしらの発明というよりは、リカルド・ラ・ヴォルペ、マルセロ・ビエルサ、フアン・マヌエル・リージョの思考が混ぜこぜになっていますよね。そもそもACが2CBの間に降りるサリーダ・デ・バロンはラ・ヴォルペのスタイルですから。クライフの思考をベースに数的優位、位置的優位を解釈していったんだと思います。だから、ロナルト・クーマン、ミカエル・ラウドルップのようにクライフ直下の監督と、同じようなサッカーをしているわけではない。ペップが体系化したのは事実ですが、いろいろな要素が混ざり合っている。
龍岡 体系化の話で言うと、過去の名選手は別に体系化されていなくても自らのプレー経験で、プレー中にポジショナルプレー的な感覚、思考、判断は持っていたと思うんですよね。それが体系化されたことで、平均レベルの選手でも実践できるようになり、ある程度は選手個々の能力差を補いながら、スター選手の好不調に左右されることなく、チーム全体のパフォーマンスの下ブレを抑えることができるんじゃないか、と。
結城 基本的には同意見ですが、唯一「平均レベルの選手でも実践できる」という点については、異なる認識です。現に、平均レベルの選手が多いクラブを率いていたリージョは成功できませんでした。現在のマンチェスター・シティを見ても、ラポルテ、フェルナンジーニョ、D・シルヴァ、デ・ブルイネへの依存度が高い。それこそトップレベルの「4番」「8番」がいないと、ポジショナルフットボールは成り立たないという考えです。
龍岡 ポジショナルフットボール=ペップというイメージが強いですけど、これはあくまで頂点の話ですからね。最高の選手を集めないと実現できないなら汎用なシステムとは言えません。「弱者によるポジショナルフットボール」も同時に注目していくべきだと思います。ブレンダン・ロジャーズが率いていたスウォンジー、キケ・セティエン時代のベティス、片野坂知宏監督の大分トリニータ、さらに昨年のアジアカップで日本を破って優勝したカタール代表。彼らは「持たざる者」でありながら、 時間をかけて作り上げてきたポジショナルフットボールの有用性を示しています。だからこそ、ポジショナルフットボールはフットボールにおける一つの攻略本だとも思っているんです。
結城 攻略本ですか。これはいかにも龍岡さんっぽい感覚ですね。もちろんポジショナルの要素はリヴァプールも取り入れているように、現代の主流とは感じています。とはいえ、攻略本というまでに 昇華させられる監督は希少かもしれません。現状の浸透度だけで考えれば「むしろゾーンディフェンスのほうが攻略本なのでは?」と思ったり。ゲーム機のスペックが高くないと成り立たない概念とも感じています。
つづきは『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』からご覧ください。
【商品名】ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2020/4/22
【書籍紹介】
なぜバックラインからビルドアップするのか?
なぜサイドバックは中央へ斜めに走るのか?
なぜ「4番」には「プレス抵抗力」が求められるのか?
なぜ一人はボールと反対側のワイドな位置にいるのか?
なぜウイングが曲線的に中央へプレスをかけるのか?
なぜ守備ブロックはサイドを空けているのか?
なぜ「8番」はハーフスペースを占めるのか?
すべての答えはこの教典の中にある。
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