「早熟」の基準とは何か。子どもたちの成長につなげる指導者の役割とは
2021年03月19日
フィジカル/メディカルサッカーをする上で、ジュニア年代の選手たちが早熟かどうかは関心の高いテーマです。そして、GKは体格に恵まれた選手たちがつくポジションのイメージを持っている人も少なくないかもしれません。では、長年、各カテゴリーでGKを指導してきた日本屈指のGKコーチである澤村公康氏は「早熟」に関してどのような基準を持っているのでしょうか。『GKコーチ原本 “先手を取るGKマインド”の育て方』から紹介します。
著●澤村公康 写真●Getty Images

「早熟」なGKの傾向とは何か
ゴールキーパーを語る時、「早熟」という言葉は常につきまとってくる。身長が伸びない、身体が硬くなるなどのイメージがあるが、実際に「早熟」とはどのような解釈なのだろうか? 澤村のような育成のスペシャリストは「早熟」に対してどのようなジャッジ、チェック、見方の基準を持っているのだろうか?
「まずわかりやすく言うと、もう身長が伸びない、筋肉質な子です。大きくなるラージプレーヤータイプの体つきは筋肉、筋肉していません。意外に細身の子のほうが大きくなることが多く、スラッとしている子が一気にガーッと大きくなる傾向のほうが強い。『早熟』という言葉は中学校年代までしか使われない言葉です。選手がいかに成長していくのかというところは高校年代からしっかり見ていくべきだと思います。ジュニア時代から結果を出している選手が上のカテゴリーに行った時にどうなっているのかは、正直なところ見えない部分が多い。これはゴールキーパーに限らずです。『早熟』と言われる子はあるタイミングであとから伸びてくる選手にいろいろな部分でぶち抜かれていきます。周りが背丈が伸びる時に自分は伸びない。今度は筋力でカバーしようと身体を作ると筋トレによってバランスが崩れていく。当然、身体も重くなる。動きに制限がかかるので筋肉系、関節系のケガが増える。こうした要素が絡み合ってサッカーをプレーすること自体が難しくなっていく。周りよりもできることが多かった小中学校年代。ゴールキーパーだったら今度はできなくなることが多くなります。ゴールが大きくなって届いていたボールに届かなくなる。周りのレベルが高くなり身体でも負けて競り勝てなくなる。できなくなることが多くなってくるとモチベーションも上がりません。維持するのも難しくなります。トップレベルからどんどん離れていってしまうのです」
「早熟」な選手はあらゆることであとから成長する選手に抜かれていく傾向が強い。ゴールキーパーに特化すれば小柄なままプレーをレベルアップするために、筋肉をつけてスピード、ジャンプ力強化に重きが置かれる。無理な筋力強化をしても、「関節」「腱」「靭帯」は大きくはならないため、アンバランスな身体になることが多い。結果的に筋肉系のトラブルから選手生命が奪われ離脱していく。「晩成タイプ」はできることが増え自信をつけるのに対し、「早熟タイプ」は以前できたことができなくなって自信をなくしてしまう。トップレベルから程遠くなっていくというスパイラル現象を起こしてしまうのが、「早熟」なゴールキーパーのひとつの傾向といえる。
「『早熟』のゴールキーパーを指導する際、背丈が小さいからジャンプ力でカバーをさせようと筋トレをやらせるのか?『早熟』を理解した上で骨格の構造を学び身体の動かし方を整えてあげたほうがいいのか? 将来的にサッカーを楽しめるのは後者です。こうしたことは僕たち指導者も勉強しなければいけません。ゴールキーパー大国のドイツでは体操競技に熱心に取り組んでいて、アスリートになる人は若い頃に体操競技をやっています。それによって身体の動かし方を理解し、実践できる子どもは身体が大きくなって筋量が増えていく。ラージキーパーでもしなやかな身のこなしができるようになるのは当たり前のことで、これはすごく理に適っていると思います。日本では身体が硬い子が多かったり、各関節をうまく使えない子が多かったりします。そのまま狭い土台にサッカーを上乗せしていて、そこにゴールキーパーの技術を上乗せしていくと偏ったゴールキーパーになってしまいます。こうしたスポーツに対してのバッググラウンドの部分には大きな差を感じます。例えばトップトップを目指すのであれば、小柄だったら『ゴールキーパーはやめたら?』と大人も言うと聞いたことがあります。また、『違う種目で勝負したらどうだ?』という ように、頭ごなしに『ダメ』と言うのではなく選手個人が最も能力を発揮できる競技に導いてあげる、そういう持って行き方が指導者の仕事という面もあるようです」
つづきは『GKコーチ原本 “先手を取るGKマインド”の育て方』からご覧ください。
【商品名】GKコーチ原本 “先手を取るGKマインド”の育て方
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/3/17
【書籍紹介】
言葉でGKをデザインする!
全カテゴリーのGKを指導してきた日本屈指のGKコーチ澤村公康による、これまでになかった「GKコーチのための原本」。
25年に渡る自身のGKコーチキャリアを辿りながら、GKの80%を占める装備すべき5つのマインドなど、“先手を取るGKマインド”を育むための要素がすべて詰まった唯一無二のGKコーチ大全。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
東北トレセン女子U-14が開催!2025.10.24
-
東北トレセンU-14が開催!2025.10.23
-
【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!2025.10.22
-
U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】2025.10.21
フットボール最新ニュース
-
鈴木唯人が貴重な先制点でチームを勝利に導く【23日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
日本人対決でリバプールが5Gで圧勝【22日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
バルセロナが6発大勝。エースもゴール【21日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 東北トレセンU-14が開催!
- 町クラブから選抜された選手たちがスペインで武者修行!バレンシアやビジャレアルなどと対戦
- 大社少年サッカークラブが島根県大会を制覇!! 3年ぶり6回目の全国大会出場に歓喜/第40回全日本少年サッカー大会 島根県大会
- 2013年度 ナショナルトレセンU-14 後期の開催概要および参加メンバー発表
- 4種(小学生年代)を支える町クラブの存在意義とは? サッカーが日本の文化となるために改めて考えなおしたいこと
- 【第94回全国高校サッカー選手権大会】富山/私立/富山第一 選手名鑑
- 悲劇を繰り返さないために――。インターハイベスト16の強豪・大阪学院大学高校の選手権予選棄権の真相
- 【ジュニアユース(女子) セレクション】セレッソ大阪堺ガールズ(大阪府)
- 【ジュニアユース 体験練習会・セレクション】FCトッカーノ(東京都)















