「新たな選択肢を増やすようなアプローチが必要」。グループ戦術の指導法と効果的なトレーニング法とは?

2017年08月10日

コラム

ジュニアサッカーの現場にはさまざまな疑問や悩みがつきもの。指導者から子ども、そして保護者の方々が抱くものを、ファンルーツの指導者たちがアドバイスします。今回はグループ戦術をジュニア年代でどう指導していくのか、2つの疑問を解決します。

(再構成・写真●ジュニサカ編集部)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.30』より転載


Q1

ジュニア年代では、グループ戦術をどのように教えるべきですか


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グループ戦術を特化して教えるのは小学校の高学年から

 基本的に、グループ戦術を特化して教えるのは小学校の高学年からで良いと思います。グループ戦術の基本は、スペースをどのように作るかということです。一番簡単に実践ができて理解しやすいのは、両サイドの幅を取ることです。左右に大きく広がることで、選手同士の距離が広がり、一人ひとりの空間が大きくなることを実感できます。
 
 次の段階が、奥行きです。相手の守備陣との駆け引きもあるのですが、まずはオフサイドにならない範囲でできる限り前に選手を置きます。これも幅と同様に個々のスペースを広げられる効果があることに気づきやすいと思います。両方を教えたら、縦と横の頂点を結ぶダイヤモンド型をできるだけ広くしてみようということで、両方を同時に行ってピッチ上にスペースを生むことを教えます。スペースが生まれると、相手が分散して、ボールを持つ余裕ができます。すると、相手が密集していれば別のスペースから前に進むことができ、分散して いればドリブルやパスが通しやすいということが理解できると思います。
 
 教え方については、ボードなどで図を描いて説明することも大切ですが、ピッチ上で少しずつ気づかせる手法も同時に行うのが良いと思います。ボードを見て頭で理解するだけでなく、体験することで発見できるタイプの選手もいます。ミニゲームの中で「もう少しサイドに広がってみたら?」と言ってあげると、実際の視野の中でも理解することができます。一つ気をつけたいのは、ジュニア年代では戦術を教えるとワンパターンになりがちだということです。広げたことでパスを通しやすいと気づくと、そればかりをやりたがります。そういう状況になったら「逆にポジションを中に絞ったらどうなる?」と問いかけることや「パスがしやすい状況だけど、これだけスペースがあったらスピードに乗ったドリブルを仕掛けることもできるんじゃない?」と新たな選択肢を増やすようなアプローチが必要だと思います。

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