地域の子どもたちへの投資は「未来への投資」。“ジャイキリ”で脚光を浴びたいわきFC、育成への取り組み

2018年01月11日

コラム
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天皇杯全日本サッカー選手権でJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するなど、衝撃的なジャイアントキリング旋風とともに脚光を浴びたいわきFC。天皇杯での躍進をキッカケにJ1のクラブにも勝るとも劣らない施設やクラブのヴィジョンに掲げる「日本のフィジカルスタンダードを変える」というセンセーショナルな言葉が様々なメディアに取り上げられ話題となった。一方で彼らは「育成」にも力を入れ、着々と地域に根差したクラブになっている。今回はその一端を担う『いわきスポーツアスレチックアカデミー』の取り組みを紹介する。

【連載】いわきFCの果てなき夢

取材・文●藤江直人 写真●ジュニサカ編集部


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「アスレチックアカデミー」とした意図

 子どもたちの弾けんばかりの笑顔を見ているだけで、いたるところから沸き上がってくる歓声を聞いているだけで、思わず笑みがこぼれてしまう。ピッチに手をついても汚れない。たとえ転んでも痛くない。天然芝に感覚が近い人工芝のうえで、思い切り体を動かすことが楽しくてしかたがない。

 昨年6月の天皇杯全日本サッカー選手権2回戦で、J1の北海道コンサドーレ札幌を延長戦の末に5‐2で撃破。痛快なジャイアントキリング旋風とともに、一気に知名度を浸透させたいわきFC。2018年からはJ1から数えて6部に当たる、東北社会人2部南リーグを戦うアマチュア軍団の練習拠点、いわきFCフィールドの光景は毎週水曜日の午後になると一変する。

 昨年8月からスタートした「いわきスポーツアスレチックアカデミー」、それぞれの単語の頭文字を取って『ISAA』と呼ばれるプログラムの対象となるのは、4歳から11歳までの子どもたちだ。年齢ごとに4つのクラスに分かれて、午後3時から1クラスにつき1時間ずつ、走る、投げる、捕る、つかむといったスポーツの基本的なスキルを、遊び心を抱きながら習得している。

 当初は1クラス20人を定員としていたが、どう見ても倍以上の子どもたちが集まっている。いわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブの営業本部所属で、『ISAA』も担当している阿部隼人氏は「いまでは全クラスで、定員をオーバーしています」と嬉しい悲鳴をあげる。

「クラブのホームページ上で掲載した程度で、正直、あまり大々的には宣伝していなかったんですけど。親御さんたちの間で、口コミでどんどん広がっていったようで、いまでは20人と言わずに、できる限り多くの子どもたちが来られるようにしています」

 アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める親会社、株式会社ドーム(本社・東京都江東区)の紹介で、ジュニア年代のトレーニングにおける第一人者、小俣よしのぶ氏を含めた2人を講師として招へいした。

 それでも受講する子どもたちがトータルで200人近くとなったため、同じ敷地内にあるドームの物流センター、ドームいわきベース(DIB)に平日午後は勤務しているいわきFCの選手たちの一部が、業務の一環で臨時講師として参加。安全性を十分に確保する役目を担っている。

「選手を身近に感じられることは子どもたちにとってプラスですし、選手にとっても子どもたちと触れ合うことは大事ですからね」

 こう語る阿部氏はあえてサッカースクールではなく、アスレチックアカデミーとした意図を子どもたちの明るい未来に求めた。

「これからバスケットボールをするかもしれないし、あるいはゴルフの道を志すかもしれない。サッカーだけに決めつけるのではなく、この『ISAA』を通していろいろなスポーツへ枝分かれしていけるように、どのスポーツにも必要になってくる基礎的な動きを一元的にやろうという方針なんです」

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【『ISAA』を担当する阿部隼人氏(写真●ジュニサカ編集部)】

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