欧州のチームと日本のチームのサッカーは何が違う? 大会1日目に見えた日本サッカー界の課題/取材レポート【1】

2016年08月26日

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016

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チームとして戦ううえで知っておきたいビルドアップの“幅”

『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016』の初日から見えたのは、欧州強豪クラブの強さと同時に、日本クラブが抱える課題だった。

オープニングマッチでは、FCバルセロナがサンフレッチェ広島ジュニアを4対0で下し、2試合目では、マンチェスター・シティがガンバ大阪ジュニアに4対0で勝利を収めた。結果やスコアだけを見れば、日本のトップを競い合うJクラブが欧州のトップクラブに敗北を喫した、という単純な図式だ。しかし、内容を分析すると、大きな問題点が浮かび上がる。

彼らの戦いにあった差は、ピッチの『幅』の使い方だった。GK、もしくはDFラインから試合を組み立てるビルドアップを行うのは、欧州も日本も変わらない。ただ、その後の展開でボールが左右に動く距離、つまり“幅”が大きく異なる。

バルセロナもマンチェスター・シティもCBがボールを持つと、SBがサイドライン際から5〜7mあたりまで広がり、そこからSHやボランチ、または再びCBへとボールを動かしながら前進をする。

基本的には、日本もやり方は同じなのだが、CBがボールを回すスタート時のSBの位置に大きな違いがある。日本のSBは、欧州よりも3〜5mほど中央寄りにポジションを取っている。しかもCBがパスを出した後にSBの方にかなり寄るため、再びボールを受けて逆サイドへ展開し直すのは無理がある。

だから、日本のクラブは一度SBにボールを預けると、同サイドで試合を展開することが多かった。そうすると、自然にショートパスを主体にゲームを動かすことになるから逆サイドへの展開は手数をかけ、時間をかけて行うことになる。必然的に、選手全員がボールを中心に距離感を詰める。

一方、バルセロナやマンチェスター・シティのビルドアップは、SBにボールが展開されても、極端にCBが寄ることがないから必然的に視野を広く保たなければならず、状況に応じて逆サイドにボールを動かした方がいいのであれば、中央にとどまるCBを経由してスムーズにサイドを変えることができる。逆サイドの選手も、攻撃時はポジションを外にはった状態をキープして待っている。

この状況を比べると、日本クラブのビルドアップのスタート時における主な問題点は3つある。
1.SBの位置
2.ボールをサイドへ展開した後のCBの位置
3.その後に起こる選手全員の位置と距離感

ゲームを組み立てる上で重要なことは言うまでもなく、ピッチの『幅』と『深さ』を使うことだ。

FCバルセロナやマンチェスター・シティと戦ったクラブに共通していたのは、ボールサイドの選手だけでなく、チーム全員が横に何度も揺さぶられ、序盤に仕掛けていたプレスをかける身体的・精神的な体力をすでに前半の終盤あたりから激しく消耗していたことだ。

4点を奪われた選手たちは、試合終了まで必死にボールに食らいつき、何とか失点を4で止めたが、指導者がなすべきは「気持ちのがんばり方」を教えることだけではなく、「サッカーのがんばり方」を教えることではないだろうか。

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