川崎フロンターレ、サガン鳥栖に見る「CBがもたらす優位性」/全少決勝大会レポート

2017年12月27日

コラム
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全少コラム04

相手のプレスに焦れない川崎CBの「メンタリティ」

 まずは、川崎フロンターレだ。

 このチームは、ここ5年で最もビルドアップを磨いてきたクラブだと言っても過言ではない。数年前までは「SBがビルドアップの起点だった」のだが、最近は起点がCBにシフトした。

 この間には、大きな違いがある。

 その一つは『数的な優位性を作り出す』こと。SBがDFライン上で横並びにビルドアップの起点になるとパス回しに人が吸収される形になり、攻撃の枚数が減ることになる。必然的に、ボールサイドに人がサポートすることになり、フォワードやボランチがサイドに回らなければならない。そうすると、フィニッシュに影響が出る。センタリングやクロスを上げてもシュートを打つ選手が不足してしまうし、三枚目の動き出しもなくなってしまう。

 そこで、同クラブはCBの2枚を起点にすることにした。

 具体的には、2枚のCBが横に広がり、SBを押し上げることで彼らを攻撃に加えることにしたのだ。SBはCBよりも必ず高い位置を取ることにより攻撃の選択肢となった。ただ、通常のチームならこのSBをすぐに使うが、川崎フロンターレは簡単にはSBにパスを回さない。

 なぜなら守備が崩れていない状態でSBにパスを渡しても、数的有利を作られ、SBが仕掛けられないからだ。CBがSBにパスを出すときはかなりの確率で相手の背後を突く縦パスを入れる。むしろそこにパスを出せない、また効果的な縦パスを入れられない限りは、粘り強くCB間やサイドチェンジを繰り返しながら相手の隙をうかがうメンタリティがある。

 CBはプレスをかけられても最終手段としてGKにバックパスをしたらいいから焦らず、ボランチなどに細かいショートパスを送ってのリターンなどで時間を作りながらしっかりと対戦相手のポジションのズレやミスを生じるまでゲームをコントロールする。

 原則として2タッチ程度で簡単にボールを回し、フリーの選手がしっかりとプレーできる環境を、CBを中心にみんなで作ろうというのが統一意識としてある。結果的に、相手チームのカウンター対策にも通じているのが、川崎フロンターレのビルドアップの利点の一つだ。

全少コラム03

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