“101%”の力で挑戦して、子どもは少しずつ成長する。指導者の役割は「達成感を感じさせる」こと

2018年01月24日

育成を考える

ミゲル・ロドリゴ流の指導は「子どもにすべてを出し切らせる」のが肝になる。日本では指導者の指示に「Yes!」と答える、まるで『サラリーマン・フットボーラーを育成している』ように見える。試合も練習も、指導者はコート外から大声で指示やアドバイスを出し、ときに怒鳴る。すると、プレーの目的が「怒られない」、「ミスをしない」ことにすり替わり、判断しない選手に育つ。日本の子の判断を噴水に例えると、元気よく出ない噴水のようだ。日本の監督やコーチは噴水の栓をもっと開いてあげ、どんどん水が湧き出るような指導を実践すべきだ。

【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法

企画・取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、村井詩都、Getty Images


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指導のスタートは「すべてを出し切らせる」ことから!

 ジュニア年代の子どもを見る上で、大切なのはサッカーの『上手い』『下手』ではない。

 そういう見方で、指導者たちは子どもたちの才能をはかってはいけません。大事なのは「自分の持っているものをすべて出し切らせ、一人ひとりの個性や特性を発見してあげる」ことです。特に日本人の子どもたちには、「まず自分の中に押さえ込んでいるものをすべて出し切らせること」が大事です。そうすれば、各々ができるプレーを「サッカーにどう生かせばいいのか」が少しずつ見えてきます。そして、その個性や特性という才能の質をどんどん高めて上げることが指導者の役目です。

 「いかに選手が持っているすべてを引き出せるか」

 これが、私たち指導者の腕の見せどころであり、「山脈の中からどれだけ『金=才能』を拾い上げられるか」(魔法1参照)につながるポイントなのです。

「それはダメ!」
「こうでなきゃいけない!」
「こうしろ!」… etc.

 そういう言動・行動をしてしまうと、子どもたちの個性や才能を出し切ることなく終わらせてしまう要因になります。特に、ジュニア年代の子どもたちにとって重要なことです。その過程では、成功も失敗も起こります。だから、ミスを修正する方法や自信をつけさせる方法(※魔法7参照)といった指導スキルが必要になのです。

 金=才能には――技術的なものがあれば、戦術的なものがあれば、リーダーシップがあれば――様々な形のものがあり、子どもによってそれぞれ異なります。日本では「出る杭は打たれる」「みんな平等」というような考えがあります。しかし、個性という才能はそれぞれの子どもによって違うものです。

 例えば、数学が得意な子もいれば、音楽が得意な子もいます。それならば、個々が備えている力を伸ばしてあげたらいいのです。1対1がうまいのであればそうなる状況をみんなが作ってあげたらいいし、守備がうまいのであればそれが出し切れるようにみんながサポートし合えばいい。全員がそれぞれの持ち場で自分の得意なものを出せば、他のチームにも負けない大きな違いが生み出せます。そのパズルを組み合わせるのが、監督の仕事です。私はみんなの前でそれぞれの選手の特徴をあえて口にしますし、選手たちは自分の持っている個性や特徴が他の選手と違うからといって、何も恥じることはありません。

 どれだけ年上の先輩がいても自分の良さを出すべきだし、それを出さずに隠しているのであれば、その行為に対して私は怒ります。それはサッカーも同じで、フットサルと同じチームスポーツだからです。まわりの選手が才能を生かすのではなく「押し殺す」、「味方がつぶす」などしていたら、それはルール違反です。個人としての見解ですが、「その場面はあいつの役目だから任せろ!」とまわりの選手たちが声を掛け合うべきです。チームがどんなに苦しい状況でも、その選手に任せた方が、チームがうまくいくのであればそうすべきです。

 フットサル日本代表では、よくチームを『ファミリア=家族』に例えていました。

 成長を遂げるとき、必ず苦しい場面や苦しい時期に遭遇します。そのとき、家族としてどれだけ苦しんでも「自分が我慢すべきところ」と、腹をくくれるかも成長には必要なのです。当たり前ですが、そこにはチームとしての明確なルールが存在しますし、それをコントロールするのは指導者の責務です。だから、選手たちは自分の持っているものをどんどん伸ばすことに集中すべきです。チームとして、仲間のことを尊重し合える犠牲心があるからこそ一体感が生まれるのです。だから、個人としてもチームとしても好循環ができあがり、自信がついていくのです。

 そんな気持ちのいいプレーには、いい判断がセットです。

 よくジュニア年代の子どもたちの判断を『噴水』に見立てて説明します。すべてではありませんが、日本の多くの子どもたちは噴水から水が飛び出していません。ようするに、自らで判断をせず、決断を下していないのです。監督やコーチに怒られないようにするために、無難な判断をして、無難なプレーをしてしまっています。そういうプレーをすれば監督に怒られることはないし、言われたことだけを実行すればいいから簡単です。まるで決まりきった仕事だけをする『サラリーマン』のようなサッカー選手です。まだ小学生なのに…。自分に問いかけてみてください。

 サラリーマン・フットボーラーが育っていませんか?

 ほんの少しでも心当たりを感じたら、指導者はいまの現実を受け止めざるを得ません。「噴水の栓をどれだけ開き、判断という水をどれだけ放出させてあげられるか」は私たち指導者の手にかかっています。

MEDELLIN, COLOMBIA - SEPTEMBER 10:  Head Coach Miguel Rodrigo of Thailand gives instructions during the FIFA Futsal World Cup Group B match between Thailand and Russia at Coliseo Ivan de Bedout stadium on September 10, 2016 in Medellin, Colombia.  (Photo by Alex Caparros - FIFA/FIFA via Getty Images)

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