サッカー界の「帰化」事情 ハーフナー家の絆
2012年06月15日
サッカーエンタメ最前線スポーツの世界では、国籍を変えて代表選手を目指している人がいる。なかでもオリンピック出場のためにカンボジアに「帰化」した猫ひろし氏の報道は記憶に新しいだろう。国籍を変えて国の代表を目指して帰化する選手は、世界を見渡せば、少なくはない。それは、サッカー界も例外ではない。6月19日(火)に発売の「フットボールサミット第7回」では「サッカーと帰化とアイデンティティ」をテーマに帰化事情を深く掘り下げている。その中で、ワールドカップアジア最終予選の日本代表に選ばれたハーフナー・マイク選手の父、ハーフナー・ディド氏からライターの元川悦子氏が、日本に帰化した背景を聞いている。今回は、こちらの一部を紹介したい。
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「ハーフナー・ディド」としての新たな人生
(前略)
その後、87年にマイクが生まれ、一度はオランダのPSV移籍話も浮上した。が、マツダの反対もあって契約は成立せず、ディドは89年に読売クラブ(現東京V)に移籍した。さらに92年には名古屋グランパスに赴く。この時点で滞在期間が7年に及んでおり、すっかり日本に慣れていたことから「できるならこのままずっと日本にいたい。家族も気に入っているし、自分自身も残って仕事も続けたい」という思いが非常に強くなっていた。
その気持ちを当時、名古屋で指揮を執っていた平木隆三監督に打ち明けると「グッド・アイデア」と背中を押された。
「『じゃあ、国籍を取る手続きをやってみようか』という話になって、西垣成美代表から弁護士を紹介してもらいました。書類を出したのは93年4月。何十枚も紙を書いて、何回も面接に行きました。日本政府は厳しくて、私の周辺のリサーチも徹底的にやったみたい。オランダでも『ハーフナー・ファミリーはどういう一家か?』と尋ね回ったみたいだし、以前住んでいた広島や東京の隣の人や子供たちの幼稚園の先生にまで話を聞きに行ったようです。それで94年1月にやっと日本のパスポートをもらうことができました」
「日本人=ハーフナー・ディド」として新たな人生を踏み出すことになった彼だが、母国に対しては一抹の寂しさを覚えることもあった。しかしパスポートが変わっただけで、オランダに住む家族との絆が失われることなど決してない。そう考えたら前向きな気持ちになれた。これから日本で成長していく子供たちのことを第一に考えなければならないと勇気が湧いてきたという。
(中略)
「私もラモス(瑠偉=現ビーチサッカー代表監督)さんもワールドカップには行けなかったけど、呂比須ワグナーや三都主アレサンドロ、闘莉王(ともに名古屋)が日本人としてワールドカップに出ましたよね。僕もそうだけどみんな日本が大好きで、日本を強くしたいと思ったから、国籍を変えようと決心したんでしょう。僕らみたいに日本のために働く外国人選手が増えるのは、全然問題ないと思いますよ」とディドは言う。
世界を見渡しても、外国出身者がその国のパスポートを取得して代表選手になる例は、増加する一方だ。かつて黒人選手の代表入りに物議を醸していたドイツでさえ、最近は帰化選手を積極的に選出するようになった。少子化・人口減少社会の日本も外国人流入が加速しており、帰化選手が増えていく可能性は大いにある。その先駆者であるハーフナー・ファミリーは、今後のお手本となるような素晴らしい生きざまを示してくれている。
日本人のメンタリティーをしっかりと理解しつつも、オランダ人の良さを生かしてピッチ上では勝負に徹する……。ディドが強調する姿勢をマイクやニッキがこれまで以上に見せてくれれば、日本サッカー界はより前向きな方向に進むだろう。父はファミリーの結束を大事にしつつ、成長を続ける息子たちをこの先も温かく見守り、叱咤激励していくつもりだという。
6年後の2018年、2人の子供たちは父が託したワールドカップ同時出場の夢を果たしてくれるだろうか……。父の楽しみはどこまでも尽きることがない。
※『フットボールサミット第7回』P15-27より一部抜粋(文●元川悦子)
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日本が好きで日本のサッカーを強くしたいという想いが人生を変えたと言っても過言ではないだろう。
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