会話は親子の大切な時間――。あなたは子どもと会話のキャッチボールできていますか?

2014年05月11日

コラム

自発的な行動を引き起こす言葉選び

 逆に、あまりできない子や弱い子にはどうすればいいのか。一番やってはいけないのが決定的なダメ出しをすること。

 「キミはダメだね」「下手くそ」と言ったら、子どもは完全にやる気が失せてしまう。少しでもいいところを見て、「救いの余地」があるような言い方を必ずすべきだと池上さんは強調する。

 「できない子には『できないことが恥ずかしいことではない』と認識させるところからがスタートになります。例えばリフティング。数多くできないのを『失敗』だと思い、すぐに手で持ってしまう子がいる。

 私なら『いいか、ボールはここにあるから蹴ってみな』と言って、その子が足を上げた瞬間に手を離します。そうすれば、1回はできる。それで『1回できたね。すごいね』と言えば、必ず『やったー』という顔になる。

 最後に『誰でも1回から始めればいいんだよ』とか『見てごらん。あのうまい子も失敗してるでしょ』と励ましの言葉をかけてあげれば、その子はもっとサッカーをやりたいと思うでしょう」

 ただし、池上さんの考える練習に一人のリフティングはない。サッカーは集団競技。一人が何十分もボールを蹴り続ける場面などあり得ないからだ。リフティングなら二人一組か三人一組でやらせて、勝ち負けを競わせる。勝ったチームには「よかったね」と声をかけ、負けたチームには「惜しいね」と言う。

 どちらも「次は勝ちに行こう」と思えれば、子どもたちはどんどんやろうとする。サッカーでも勉強でもそうだが、人にやらされていることは身につかない。子どもたちが能動的姿勢になって初めて成果が出るのだ。


プロフィール
池上 正
(いけがみ・ただし)

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1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

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『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

 


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