世界最強クラブ レアル・マドリードに学ぶ 1対1育成メソッド

2014年05月21日

サッカー練習メニュー

世界各国の錚々たるメンバーが結集する世界最強クラブ「レアル・マドリード」。個々の能力に秀でた選手を多く抱える銀河系軍団の育成を紐解くべく、今回はレアル・マドリード・ファンデーション・サッカースクール横浜校で子どもたちの指導にあたっているルイス・ルビアル・フェルナンデス氏からの言葉に耳を傾け、1対1から学ぶ育成メソッドを学びましょう。

文●山本浩之 写真●レアル・マドリード・ファンデーションサッカースクール横浜校、編集部

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.29秋号』P056-060より転載


レガテアールとコンドゥクシオン。1対1では2種類のドリブルが存在

 ルイス氏に今回の取材のテーマが「1対1の攻略術」であることを打ち明けると、

 「レアル・マドリードでは、世界中のどこのクラブでプレーをしても活躍することのできる選手を育てることが、カンテラのイデオロギーになっているのです。そのため、U‐12までのカテゴリでは、戦術の練習よりも技術的要素の強い練習を中心に取り組んでいます。当然、個々での攻略方法というのも含まれていますが、それは、相手を抜くため、またはボールを運ぶための練習をテーマとしたときに付随してくるものです」

 と前置きをしたうえで、スペインの2種類のドリブルについて話を始めた。

 「スペインでは、ドリブルをレガテアールとコンドゥクシオンの2種類に分けます。レガテアールは相手を抜くためのドリブルです。コンドゥクシオンは相手を抜くことよりもボールを持って移動するということ。ボールを運ぶというイメージを持ってもらえばよいでしょう」

 そう言って、いくつかのメニューをノートに書き出した。まず、【図1】のように4つのコーナーにマーカーを置いたグリッドを用意する。非常にシンプルであるが、このメニューは前述したレガテアールの動きを高める練習である。

 例えば、対角や相手の背後にあるマーカー(もしくはコーン)をドリブルでタッチするようなルールにして、1対1を練習させる。しかし、単に抜こうとしても相手はついてくるので、そこで子どもたちに相手をだますためのフェイント(スペイン語でフィンタ)を考えさせるのだ。

【図1】
レアル図

■基本ルール
●AとBそれぞれ進行方向側にある2つのコーンを目がけたドリブルゲーム。
●コーンの間隔は4メートル程度
●プレー時間は30秒から45秒
●(フェイント)を仕掛けて、相手を突破する練習を行う。
●コーンにたどり着いたらドリブルでコーンにタッチする。
 
「レガテアールでは、フィンタを使って突破をする技術が必要となるのです」(ルイス氏)。

 さらに、各コーナーのマーカーをふたつずつ置いてゲート【図2】を作る。ルールをマーカーへのタッチから通り抜けることに変更した。

 「コンドゥクシオンをテーマにするのであれば、オフェンスには突破ではなく、ボールをキープするための技術が要求されます。コンドゥクシオンは、フィンタによって正面から強引に抜け出そうとするリスクの高いものではなく、ボールを失わないように運ぶことが目的なのです」

 相手の右後方にあるマーカーを目的地として考えてみると、いきなり右方向にドリブルを一直線に仕掛けるよりも、はじめに逆サイドに動き出して相手を誘い出すなど、目的地のマーカーまでボールを運ぶための、ドリブルのできるスペースを作り出すことがポイントとなる。

【図2】
レアル図2

■基本ルール
●AとBそれぞれに進行方向側にある2つの通過点を目がけたドリブルゲーム。
●プレー時間は30秒から45秒。
●オフェンスはボールをキープしながら、狙った方向と逆のスペースに相手を誘い出し、ドリブルをするコースを作り出す。
●狙ったコーンの間を、スピードを落とさずに通過する。
 
「マーカーをふたつにしてゲートを設けたのは、そこを通過するようなドリブルを求めることで、より最後までスピードをあげたままボールを運ぶ(コンドゥクシオン)ことが習得できるからです」

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