世界最強クラブ レアル・マドリードに学ぶ 1対1育成メソッド
2014年05月21日
サッカー練習メニュー目的意識を明確にし、個々のスキルを高める
このように同じ1対1の基本的な設定から、わずかに状況を変化させるだけで、レガテアールとコンドゥクシオンという2種類のドリブルを習得することができるというのだ。
「ただ1対1を競い合うための漠然としたシチュエーションを与えて練習に取り組ませるのではなく、同じ1対1の状況でも、相手を抜くために仕掛けるのか、またはボールを運ぶのかといった目的を明確に意識させた練習にするのです」
これが冒頭でルイス氏の話した「個々の技術を高めていく練習のテーマに付随しての1対1」ということだ。
次にルイス氏は、【図3】のような状況を描いた。を描いた。グリッドを分割して、半面をフットボール、もう半面はバスケットボールのルールで1対1の対面プレーを行う。「技術よりも頭の切り替えを促す練習」だと言うが、ここにも個の突破力を磨くための要素がふんだんに盛り込まれている。
【図3】 【図4】
■基本ルール
●4メートル四方のコートを2面作り、XゾーンとYゾーンに分ける。
●Xゾーンは足を使うフットボールのルールにする。
●Yゾーンは手を使うバスケットボールのルールにする。※ドリブルもバスケットボールの手を使ったものにする。
●最初は【図3】で練習を行い、慣れてきたら【図4】にする
●【図4】は5つのシュートエリア内からしかシュートを打つことができない。それ以外のルールは【図3】と共通とする。
「技術的な部分でいったら、足よりも手のほうが器用に使えるもの。バスケットなら、足もとに意識を集中させる状況が少ないので、自然とルックアップして周囲の様子を見極めることができます。ボールの持ち運びや、フェイントも使いやすいので、そこで自分のイメージ通りに実現することができたら、アイデアをサッカーにフィードバックすればいいのです。例えば、攻め込む方向がバスケットの面からフットボールの面だとすると、まず手を使ってボールをキープすることができます。相手を抜くためのレガテアールを自陣で強引に仕掛けてボールを奪われることのリスクも回避するためにも、ここではコンドゥクシオンでボールを運んだほうが安全です。そしてフットボールの面に移ったときにレガテアールを仕掛けてゴールを狙う。思ったとおりのプレーができたならば、その記憶が新鮮なうちに、次のステップとして攻め込む方向をフットボールの面からバスケットの面にしてみる」
ハンドドリブルで成功したコンドゥクシオンを今度は足でチャレンジしてみる。バスケットボールの面で仕掛けるフィンタには、手を使うことでボールキープに余裕ができ、これまでサッカーでは試したことのないステップワークにチャレンジをすることもできる。
難易度の下がったポイントを工夫させるというものだ。
「このように、子どもたちがいろいろなアイデアを考えることができるように仕向けるのですが、ただ実際には、子どもたちは習得した技が通用すると分かると同じことを繰り返します。新しいことへの挑戦心が薄れてしまう。そうなると、すぐに相手にも見切られて通用しなくなってしまいます。そこで、新たな発想が自然にもてるような仕掛けとして用意したのがこのトレーニングになります」
シュートが打てるのは、グリッド内に用意された5つの輪の中に限定される。
「今まで成功していた輪の中からシュートが決まらなくなったとき、他にもシュートの打てるエリアが明示されていれば、『ここがだめなら、あそこに行ってみよう』と新しい場所でチャレンジをするものです」
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