世界最強クラブ レアル・マドリードに学ぶ 1対1育成メソッド
2014年05月21日
サッカー練習メニュー今までの積み重ねが、次のステップへとつなげていく
ルイス氏がこれまでに解説をしてくれた1対1を攻略するためのメソッドは、いわばボールを保持しているときに個のテクニックを駆使するものとなる。
しかし、サッカーの試合ではボールを持っていないオフ・ザ・ボールでの相手との駆け引きも重要なファクターとなる。
「駆け引きの要素は、これまでに説明した練習を2対2にすることで取り入れられます。スペインではオフ・ザ・ボールでの動きも2種類に分けて考えられます。サポートの動きと裏を取る動きです。サポートは、スペイン語でアポージョと言います。味方に対して寄ってボールを受ける動きです。もうひとつは、ルプトゥーラと呼ばれるものです。ルプトゥーラは相手を崩すという意味で、相手の裏を取ることや抜け出すような動きです。子どもたちには、2対2を実践するときに、ボールを受ける動作を意識するように伝えます。その後のミーティングで、実際に『誰ができた』のか、『誰がうまい』のかを話題にします。それは『寄って受けた』のか、『相手を崩すために受けた』のかまでを聞き取ります。選手自身が自分の言葉を使って発することで、自分がどうすべきなのかという考えをもつことができるからです。だから、指導者が先回りをしてしまうのではなく、子どもたち自身に考えさせるのです」
オフ・ザ・ボールでの駆け引きには、考える力や対話力も必要になってくるという。それでは、あまり小さな子どものうちから理解させることは難しいのだろうか?
また、ここまでルイス氏が語ってきたメソッドには、すべて自分で考える力は要求されているはずだ。そのことを伝えると、「小さいうちからすべてを理解させることが大事なのではありません。その年代なりに自分で考えることが大事なのです」とルイス氏は説明する。
「『この年齢ではドリブルを積極的に取り組みましょう。それができたら、パスに移りましょう』ではなく、相手を抜くドリブル、運ぶドリブル、パス、体の向き、サポートの動きなどの要素から、その年代の中でできることを蓄積していく考えなのです。6歳の子どもに、いきなりオフ・ザ・ボールでの駆け引きを意識させるのではなく、アポージョやルプトゥーラを理解できる年齢に達したときに、スムースに以降できるように積み重ねておくのです。なので【図1】の練習を、あえて年齢というカテゴリで考えてみるならば、U-6ではなかなか理解ができません。U-8以上が対象となるでしょう。U‐10になると集中する力もつき、U‐12では、自分でどういうことをやるのかを意識する自覚が芽生えてきます」
ひとつのことに取り組んで、それができたら次に移るのではなく、今までの積み重ねが次のステップへとつなげていく。ルイス氏は「階段ではなく坂道のようにのぼっていく」と指導方法を表現した。
それでは、実際に日本でサッカー教室を開催して、子どもたちがボールと触れ合う姿を見たレアル・マドリードの育成担当は、日本の子どもたちに何を感じたのだろうか、最後に、ルイス氏に語ってもらった。
「日本人の子どもたちには、フィジカルの強さよりも技術的な上手さを感じました。ただ、一方で自信を持っていない。どこか、おどおどしている子が多いのが気になりました。サッカーはミスをしながら覚えていくものです。失敗から次にどうしなければいけないかと考えるものなので、最初から恐れてしまうと学ぶことはできません。指導者が、失敗したときに怒って罰を与えるのではなく、『やっていいんだよ!』とフォローをして継続させてあげることで、その子の持ち味を引き出してあげないといけません。これまでにお話をした1対1の攻略術にしても、何度でもトライ・アンド・エラーを経験して『こうすれば抜けるんだ』ということを自分の力で発見したとき、本当に選手自身が獲得した技術として成り得るものなのです」

(写真●レアル・マドリード・ファンデーションサッカースクール横浜校)
<プロフィール>
ルイス・ルビアル・フェルナンデス
Luis Rubial Fernandez
1976年生まれ。レアル・マドリードC.F.カンテラ(育成組織)スカウト部門。世界各国で行われたレアル・マドリード・ファンデーションクリニックに参加。今年4月に来日し、レアル・マドリード・ファンデーションサッカースクール横浜校で子どもたちの指導にあたる。
レアル・マドリード・ファンデーション
サッカースクール横浜校とは
http://www.rmschool-yokohama.jp/
レアル・マドリードC.F.が長い歴史の中で、多くの経験の蓄積により確立したトレーニング・メソッドに基づいて指導。レアル・マドリードC.F.のカンテラ(育成機関)と連携し、そのプレースタイルを学び、テクニックや戦術的思考の向上を重視してトレーニングを行う。また、スポーツが持つ価値をスクール生が体得し、サッカーを通じてスポーツ選手としてはもちろん、人間としても成長できる機会を提供する。
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