ネイマールやロビーニョなどを輩出したサントスFCの育成とは?

2014年06月12日

コラム

ネイマール(バルセロナ)やロビーニョ(ACミラン)などセレソンで活躍する数多くの選手を輩出しているサントスFC。特にテクニックの高さが目立ちますが、その秘密はジュニア年代での指導にあるようです。そこで今回は、サッカー大国・ブラジルのサントスFCの下部組織ディレクターであるルイス・フェルナンド・モラエス氏にお聞きしたサントス流育成術をご紹介します。

文●田崎健太 写真●Getty Images

『ジュニアサッカーを応援しよう! vol.25夏号』P137-139より転載


ファミリーの意識で子どもを育てる

 この国ではいいサッカー選手はザルに乗って出てくるんだ――。

 ブラジルのサッカー関係者がよく口にする言葉である。スーパーマーケットでザル単位で売られている野菜のように、次々と才能ある選手が生まれてくるという意味だ。いい選手はたくさん出てくる。生き残る方が大変だと彼らは口を揃える。そんなブラジルでも特にいい選手が下部組織から継続的に育っているクラブがある。

 サントスFCである。

 サントスは、昨年のクラブW杯でバルセロナと決勝を戦った。中でもブラジル代表に選ばれているネイマールとガンソの技は日本の人たちの目を引いた。

彼ら――メニーノス・ダ・ビーリャが、ブラジル中で名前を知られるようになったのは、2010年W杯前のことだった。メニーノス・ダ・ビーリャとは、直訳すれば、「街のガキども」。これはサントスの下部組織の名前でもある。

 このときのメンバーには、ネイマールやガンソと同年代のアンドレやウェズレイと言った才能ある選手がいた。彼らが活躍すると、チームはネイマールたちを残して、多くの選手を売り払った。振り返れば、2002年にも、メニーノス・ダ・ビーリャと呼ばれた下部組織出身の選手たちがいた。ブラジル代表のロビーニョやジエゴたちだ。

 面白いことに、サントスはサンパウロ州で最も下部組織の設備が整ったクラブではない。サンパウロから約40キロ離れた海岸沿いにあり、のんびりとした港町である。サンパウロ市のサッカー少年が憧れるのは、サンパウロFCの下部組織である。経営基盤の安定したサンパウロFCは練習ピッチなどのインフラも整っている。そして、カカのような選手を生み出してきた。それでも人口比とクラブの影響力を考えれば、サントスFC下部組織出身選手の数と質は特筆すべきものがある。

 その理由はどこにあるのか。サントスFCの下部組織ディレクター、ルイス・フェルナンド・モラエスに話を聞くことにした。

South Africa v Brazil - International Friendly

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