得点力アップのためのヒントを探る
2015年10月21日
コラム海外の選手のシュートは『腰で蹴る』
シュートに限らず、プレーの上達には子ども自身が気づき、自ら練習にこだわりをもって取り組むことが必要不可欠である。だから、指導者は選手に寄り添い、自信を持っているシュートやそのパターンを一緒になって見つけるのが役目だ。それが得点力を上げるのに有効な近道の一つだろう。
富岡教授もサッカー部の監督だが、指導者として選手に与えられるものは理論やデータなどの知識に基づいたヒントだという。
「とある本に、こんなことが書かれていました。ストイコビッチが名古屋グランパスエイトで日本人選手に対し『なぜパスをするたびに毎回止まってしまうのか。それでは相手にパスが読まれてしまうだけでなく、次の動き出しも遅れ、試合の流れが止まってしまう』と指摘したことがあると」
これは日本人選手のキックが海外の選手と異なることを意味する。日本人はキックの際、一連の動作で立ち足に重心をかけ続けているから次の動作が遅れる。重心を蹴り足と同じように前方へと移動させたら次の動作へスムーズに移行できる。
論文には、日本人選手と海外の選手のインステップシュートのフォームを比較した表が記されている。そのなかには、おもしろい違いもある。『蹴り足の軌道』では、日本人はボールが上方に上がりやすく、海外の選手は低い弾道で飛ぶ特徴があるとか。ほかにも、『腰の動き』では、日本人選手は動かさず、海外の選手は捻るため、イメージとしては腰で蹴る感覚だとか。
このように文字に起こされるとより強く認識し、プレー中でも客観性をもてる。そして、これに関連したデータがある。
それは、2002年と2006年のワールドカップで得点となったシュートコースのデータである。ポイントは『高さ』だ。肩から上、腰から肩、腰より下で調べると、両大会とも70%以上、腰より下の低い弾道でネットをゆらしている。
元ブラジル代表のジーコが「シュートはゴールにパスをするように打つのが基本」だとアドバイスをしていたことは有名だ。それと同様、データからもわかる通り、低い弾道の方がGKも防ぎにくいようだ。
この前に、インステップシュートのフォームの違いに触れたが、『低い弾道』のシュートが蹴れる海外の選手が確率高くゴールを奪えているのはデータにも表れている。
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