なぜ『PK』は決まらないのか。スポーツ心理学者が語る『PK』失敗につながりやすい“回避行動”とは
2015年12月21日
メンタル/教育緊張を生む対象から視線をそむけること
一つの回避戦略は、緊張を生む対象から視線をそむけるということだ。ペナルティスポットにボールをセットしてから、キーパーに背を向けて後ろに下がることを指す。
「何があってもゴールから目をそむけてはいけない。PKを蹴るためにはどうしても前を向かざるを得ないが、振り向くことでストレスはより大きくなる」とヨルデットは言った。PK戦の間、センターサークルにいる選手がゴールから目をそらしている写真を彼は私に次々と見せた。たとえばEURO96で目をそらしていたポール・インスは、2年後の1998年ワールドカップでPKを失敗した。
チェルシーに在籍していたリカルド・カルバーリョは、モスクワで行われた2008年チャンピオンズリーグ決勝のPK戦で目をそむけていた(この試合ではロマン・アブラモヴィッチがPK戦の間自分の足元に視線を向けながら頭の後ろで拍手をしていた)。ウクライナ代表監督のオレグ・ブロヒンは2006年ワールドカップのスイスとのPK戦を、見るのが耐えられないと言ってロッカールームに引っ込んだ。
ヨルデットはペナルティスポットにボールをセットした後、GKに背を向けた選手の代表チーム別比較の図を紹介した(図3)。
【図3:代表チーム別の視線回避率】
イングランド代表選手がGKに視線を向けない率は57%という高さで、オランダの17%、スペインのわずか5%に比べるとはるかに高い。この数字はとりわけ衝撃的だ。イングランドが一番高いからだけではなく、他の代表チームの数字と比べて突出しているからだ。これだけではパフォーマンスにどう影響しているのかはっきりしないが、もう一つの「早くすませてしまいたい」という回避戦略と合わせると、心理的な回避がパフォーマンスに影響することがより明白になる。図4は、主審が笛を吹いてから蹴るまでの時間を代表チーム別に比較したものだ。
【図4:代表チーム別反応スピード】
カテゴリ別新着記事
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【第56回全国中学校サッカー大会】
- クラブとともに戦い、走り続ける背番号13――。FC岐阜の永久欠番
- FCポルタ、デサフィオC.F、武生FCブルーキッズらがラウンド16進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- FC大泉学園が3連勝スタート!FCバルセロナ、千葉県トレセンなども2連勝で好発進【U-12 JSWC2025】
- マルバ千葉fcがFCトリアネーロ町田を下し優勝を飾る!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- トリアネーロ町田、マルバ千葉、TSAフットサルスクール、リオンJr.が準決勝進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- マルバ千葉fcとFCトリアネーロ町田が決勝の舞台で激突【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 青森山田中と神村学園中が2回戦で激突!流通経大付柏中、駒場東邦中などが1回戦を突破【第56回全国中学校サッカー大会】
- FCトリアネーロ町田、京都長岡京SS、ともぞうSCらが2連勝スタート!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】