李済華氏が語る、日本サッカーを変える新GM論
2016年03月21日
コラムFC琉球の李済華GMは、今冬の高校サッカー選手権で文武両道を掲げながら準優勝した國學院久我山高サッカー部や街クラブのジェファFCで指導力のみならず組織マネージメント能力を発揮する総合的ビジネススキルに長けた人物である。今回は、李済華氏が語る、日本サッカーを変える新GM論を『フットボール批評10』から一部抜粋して紹介する。
(文●小澤一郎 写真●Getty Images)
プロとはどういうものか
今季のFC琉球は監督の交代と約3分の2にあたる17選手の退団(契約満了と期限付き移籍期間終了)を断行し、チームを一新してJ3の開幕を待つ。大鉈を振るう決断を下したのは、李済華(リ・ジェファ)ゼネラルマネジャー(GM)だ。
今年1月の第94回全国高校サッカー選手権で準優勝した國學院久我山高校サッカー部総監督も務める李氏がFC琉球入りしたのは、2014年12月のこと。財政難と度重なるフロント内部のゴタゴタに苦しむFC琉球が國學院久我山高校や街クラブ(ジェファFC)で結果と内容を両立させる李氏の組織マネージメント能力に目をつけ、まずはアカデミーのテクニカルダイレクターとして招聘。すると就任直後から次々と斬新なアイディアと実行力で素早くアカデミーを建て直し、そればかりではなく経営者としての人脈や営業力を活かして破綻寸前だったクラブに新たな資金を注入する手腕を発揮した。
指導力のみならず総合的ビジネススキルの高さを買われる形でシーズン途中の6月にはクラブ経営とトップチームの強化を担当するGMへと昇格した。今回は、「高校サッカー出身のJクラブGM」という異色のキャリアを持つFC琉球の李GMを取り上げながら、フラットに「プロクラブのGM」や「100年後も残るクラブ」について考えてみたい。
2月中旬、國學院久我山高校のグラウンドで新チームのトレーニングを見ながら取材に応じてくれた李GMにまず聞いたのは、FC琉球のフロント入りの経緯について。
「一つは、年齢の問題がありました。私自身、かねてから『高校サッカーの監督は60歳まで』と考えていましたし、後進としての清水(恭孝)監督を2、3年かけて育てていました。例えば、久我山を離れて東京朝鮮高校に行くような考えもありましたが、ある意味“惰性”で高校サッカーの指導者を続けていたとしても“そこそこ”はできるけれど、新たなものは生まれないと考えていました。あと何年サッカー界に貢献できるかを考えた時、プロのJクラブに関わることで新たなものが生まれてくるという期待感が自分の中でもありました。当時、FC琉球で社長を務めていた下地(良)さんから『うちに来てくれ』と声をかけて頂いたタイミングで久我山の監督のバトンタッチも含めて関東での諸々の仕事を任す環境作りの目処も立ちましたので沖縄での新たな仕事を受けることにしました」
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