李済華氏が語る、日本サッカーを変える新GM論
2016年03月21日
コラム帰る場所”を作ることが最も大切
昨年6月からGM職に継いた李GMだが、シーズン途中ということもありまず行ったのはチームやJ3というカテゴリーの観察であり、「プロとは何か」という定義作りだった。
「私はいつも言っているのですが、私から意識的に前任者を否定することはしません。ただ、自分が新たに何かやると何かが変わるだけですから、結果的に前任者の否定につながってしまう。そこをまず理解して欲しいと思います。
前任者が人間的に嫌いとか好きとかの問題ではなくて、私が何かをやろうと思うとある程度前任の人間や体制の否定になってしまうのです。でも私からすれば今年のチーム作りにあたり、たくさんの選手は切っていない。必要な選手として8名を残しています。これがまず一つあります。それから、私は昨季途中でGMになってから、『プロとはどういうものか』を考えてきました。FC琉球に来た当初はアカデミーのダイレクターでしたが、トップチームのプロの世界を見てもアカデミー同様『ヌルい世界だ』と感じていました。
そこで丁度起きたのが契約の問題です。昨年までのFC琉球の選手たちはチームに所属しながら、クラブのスポンサー企業などで違う仕事をして給料をもらっていました。つまり、クラブとして数万円しか払えない選手に対しては、他の仕事(アルバイト)を斡旋していたのです。
しかし、昨季は多くの選手を雇用する企業が倒産する事態が起き、その企業で給料未払いとなった選手たちが私たちのところに来ました。仕事を斡旋したのも、選手と契約を結んだのも私ではないのでよくわからなかったのですが、『それは契約に基づいて解決することでしょう』と選手に告げると『クラブが仕事を斡旋したのだから、クラブが未払い分のお金を払ってください』と言ってきたのです。当然私は、『でも、君自身が契約書にサインを入れたのではないですか?』と伝えました。
結局、私がお金を作って未払い分のお金を入れてあげましたが、今でもそういうことじゃないと思っています。『斡旋する会社が潰れた時には、クラブが給料を負担する』という契約条項が入っていれば理解できますが、そういう内容はなかったのです。
その時、ネットで『給料未払い』という情報や噂が流れましたが、FC琉球からの給料未払いはありませんでした。私たちは契約に基づいた額をきちんと払っていて、選手たちが勤めていた会社が倒産し、そこからの給料が未払いだったのです。そこを選手自身が理解していなかった。その問題があった時、当時の監督が『自分たちはプロなので、サッカーをしてお金が振り込まれればそれでいい』といった内容の発言をしました。
私は『プロというのはそんなに狭い世界なのか?』と思いました。そこがある意味で私にとっての『プロとは何か』論の原点です。もちろん、サッカーの技量を自分で商品化して売り、そこで生計を立てるというのはプロとしてあるべき姿の一つですが、自分の職業を通して『いかに社会と地域に貢献するか』、『地域のファンや子どもたちに夢と希望を与えるか』は大切です。また、日本は法治国家なのですから、会社と選手が結んだ契約書に基づいて給料が支払われます。そうした当たり前のことをトータルで考えて、『プロとは何か』を新ためて定義する必要性に駆られました」(続きは『フットボール批評10』でお楽しみください)。
⇒Jリーグがプロ化して23年、クラブ数も拡大し、ともすると原点を忘れそうになる今だからこそ、改めてサッカークラブの存在価値とは何かを徹底的に問う。100年後も愛されるクラブであるために必要なことは何なのか?
フットボール批評issue10
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
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