「できないことに目を向けるのではなく、今できていることを褒める」 子どもの“自立心”を育むオランダ式子育て

2016年04月29日

コラム

2013年に発表されたユニセフによる子どもの幸福度調査で世界第1位を獲得し、その独自の教育法に世界から注目を集めるオランダ。サッカー強豪国としても知られるオランダで行われている教育法とは? オランダの教育・社会事情を研究するリヒテルズ直子氏の著書『世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て』から一部抜粋して紹介します。

(著●リヒテルズ直子(教育研究家)写真●Getty Images)

『世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て』より一部転載


SALVADOR, BRAZIL - JULY 05:  Robin van Persie (3rd R) and Arjen Robben (2nd L) of the Netherlands celebrates the win with their children after the 2014 FIFA World Cup Brazil Quarter Final match between Netherlands and Costa Rica at Arena Fonte Nova on July 5, 2014 in Salvador, Brazil.  (Photo by Alex Livesey - FIFA/FIFA via Getty Images)

オランダと日本における「自立的な行動」の違いとは

「自立心」というと、日本では何でも自分でできて、周りの人に迷惑をかけず、秩序を乱さないようにしていること、というように受けとめられるのではないでしょうか。でも、オランダでいう「自立心」というのは、それとはちょっと違います。

 たとえば、こんなこと。木枯らしの吹く寒い日、重いドアを押し開けてお肉屋さんの店に足を踏み入れようとすると、80歳ぐらいのおばあさんが、ちょうど買い物を終えて店を出ようとしているところでした。おばあさんは、片手に杖を突き、もう一方の腕に買い物袋をかけていましたが、私が入って来るのを見るとすぐに、「ちょっとそのドアを開けて待っていてくれませんか?」と言いました。

 このおばあさんはきっと一人暮らしをしているのでしょう。でも、こうして、自分にはできないことを周りの人に気軽にちょっと手伝ってもらうことで、自立して生活を続けているのだと思います。

 それからこんなこともよくあります。バスや電車の乗り場でベビーカーに赤ちゃんを乗せ、大きなショルダーバッグを肩にかけているママたちが、乗車するときに、そばにいる人にさっと「お願い、手伝って」と声をかけて、ベビーカーを一緒に抱えてもらうのです。

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