大人になってからでもうまくなるから、親が焦る必要はない。三人のサッカー少年を息子に持つ大久保嘉人選手の“親の心得”とは
2017年03月02日
読んで学ぶ/観て学ぶ現在、三人の男の子を持つFC東京の大久保嘉人選手。今年1月にはTV番組『はじめてのおつかい』で橙利くんをおつかいに送り出す様子が放映されるなど、家族愛に溢れたサッカー選手としても有名です。最新号『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.44』(2017年3月6日発売号)では、その大久保選手にインタビュー。今回はその一部を紹介します。
取材・文●後藤勝 写真●Getty Images
『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.44』より一部転載
無理強いしてまでサッカーをやらせたくない

──大久保選手のお子さんは三人ともサッカーをやっているそうですが、同じスクールに通わせているのですか?
大久保嘉人(以下、大久保) いえ、それぞれちがいます。無理やりやらせているわけではなく、子どもたちが自分でやりたい、という気持ちに応じて適したところに通わせています。長男(碧人くん)と次男(緑二くん)は最初、家から歩いていける距離のところでサッカーを始めて、長男はそこでつづけているのですが、次男はレベルが高いから「スクールにいたら調子にのってしまう。ここをやめたい」と言い出したんです。
――もっと厳しいところに行かないといけない、ということですか?
大久保 そう、それを自分から、強いところに行きたいというので、スクールのコーチが推薦するクラブの選考会を受けました。200人くらいが参加する選考会を観に行ったら、一発合格となった4人のうちのひとりとして選ばれて。もうそのチームの選抜なんですよ、次男は。
――その後、長男の碧人くんは?
大久保 もとのチームにいます。「おまえも強いとこ行けよ」と、一回は言ったんですよ。でも本人は強いところに行きたくないというので。
――三男の橙利くんも自分からやりたいと?
大久保 はい、急に「おれもやっぱりやりたい」と言い出して。幼稚園児向けのクラスで始めました。
――橙利くんは大久保選手に性格が似ているそうですが。
大久保 気持ちは強いんですが、運動能力が似ているかどうかはわからない。次男は長男の姿を見ながら、ちっちゃいときからずっとサッカーボールを蹴っていて、でも三男はそんなことがなかったんです。それでも急にサッカーをやりたいと言うようになったから、どうなるのかな、と。
――お父さんといっしょにスタジアムに入る機会があると、感化されてサッカーをしたくなるのでは。
大久保 やりたくなるのかな。あるいは、土日にある次男の試合や練習についていってその気になったのかもしれない。家でもずっとサッカーをしていますもんね。
――これまでの大久保選手ご自身のキャリアからすると、さまざまなクラブからお誘いがあるのでは?
大久保 ありますね。けど、子どもに決めさせますから。本人が嫌だと言うなら行かせません。「こういうのがあるけど、どう?」とは、一応は伝えるけれど、無理強いしてサッカーを嫌いになってほしくないです。親のすすめで、気乗りしないのに始めるのは良くないと思うので。
――お子さんに押し付けたり、こうあってほしいという願望でサッカーをやらせるのはかわいそう?
大久保 嫌いになるんじゃないかな。いまの子はそうじゃないですか。自分の世界を持つじゃないけれど、どこかゆったりしているところがあるし。昔だったら親に怒られて何かをするということが多かった。「チクショー」とひそかに舌打ちしながらもがんばっていた時代。いまはそうではないんじゃないかなと、子どもを見て思ったので。昔ながらにがんばる子どももいるかもしれないけれど、ウチはちがうかもしれないと思って。だから、頭ごなしには言わないです。
待つ姿勢で子どもの言葉に耳を傾ける
――仕事柄ご自身がよくサッカーをわかっている立場でもある大久保選手の場合、お子さんを預けた指導者がどうなのか気になったりしませんか。
大久保 しょっちゅう観に行きますけど、その人にはその人の、あるいはそのクラブの方針があるだろうし、信頼しておまかせしています。子どもが家に帰ってきて「ここ、どうしたらいい?」と聞いてきたら教えますけど、そういうとき以外はほぼ、なにも言わないです。
――やたらと教え込んで注入するのではなく、聞かれたことだけ。
大久保 でもあまり聞いてこないですけれどね(笑)。ほんとうにやばい! と思ったときは聞いてきますよ。それまで待つ。
――お子さんたちは、ふだんお父さんのことを見てわかっていることも多いから、できるだけ手をわずらわせたくないと思っているのかも?
大久保 どうですかねぇ。特に次男は、教えられるのも嫌がるんですよ。長男は「教えてー」とか「どうやったらいい?」とか聞いてくるのですが、次男は自分の世界を持っているから。むしろ、おれの試合でのプレーを見て真似しようとする。ちがうことを教えようとしたら「もう、そんなのいい。教えないで」みたいに言ってくる。
――将来有望な感じがしてきましたね。
大久保 でも、変なところもありますよ。ボールをもらいに行かないで、前でスルーパスを待っているんですよ。小学校1年生ぐらいだと、パスを出したりしないので(ボールがあるところの)団子に行きますよね。でも次男は、「パパはしないじゃん、パパはゴール前にいるじゃん」って言ってくるんですよ。ちゃんと見ているんですね。
――プロの試合では戦術上、決定機に備えてあえて余裕を持っているなど、子どものサッカーとはちがうところがありますものね。
大久保 そうそう。それをわかっていればいいけど。
――お父さんが高名なサッカー選手でも、お子さんたちは「自分は自分」という感じで気にしないのでしょうか。
大久保 次男はね。長男は、やっぱりちょっとプレッシャーがあったかもしれないですね。たぶん、学校で(お父さんが大久保嘉人なんだろうと)言われるだろうし。おれの子どもだからミスはできない、と。だからできないことはやらない。そういうところはあるかもしれないです。
――次男の緑二くんはちょっと年齢が離れていますし、またちがう。
大久保 下は、たぶん「超えてやるよ」というくらいの気持ちでいると思いますよ(笑)。
(続きは『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.44』をご覧ください)

【商品名】ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.44
【発行】株式会社カンゼン
2017年3月6日発売予定
A5判/並製/176ページ
◆特集1 新学期から始める親のサポート術
◆特集2 改革から5年――。8人制サッカー検証
◆【付録DVD】
フウガドールすみだ清水和也選手の1対1突破ドリブル術 他
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