「6年生の秋から11人制にするのが妥当」。改めて考えたい8人制サッカーのメリットとデメリット/関西クラブユース連盟 宮川淑人氏 編【短期連載】
2017年03月15日
コラム一人ひとりのボールタッチ数が増え、ピッチが狭い分全員が攻守に関わりやすくなる。8人制サッカーがスタートして5年がたった。“少人数制”サッカーの採用は4種の育成の現場に何をもたらしたのか。
2017年3月6日に発売となった『ジュニアサッカーを応援しよう! Vol.44春号』の第2特集では、複数のサッカー関係者に取材協力を頂き、8人制サッカーを見つめる企画を行った。ページの都合上、誌面ではインタビューの一部しか掲載できなかったが、それぞれに内容が濃く8人制サッカーを通してジュニアサッカーを見つめ直すいい機会になると考えたため、本誌とWebの連動企画として4人のサッカー関係者のインタビューを全文公開する。
一人目は関西クラブユースサッカー連盟の会長であり、枚方FCの代表を務める宮川淑人氏だ。8人制だけでなく様々な問題にも言及してくれているので、ぜひご一読いただきたい。
(取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部)
小規模クラブにとって『8人制サッカー』はありがたい
――まずは率直に「8人制サッカー」のメリットを教えてください。
「いま関西では中規模のサッカークラブが減り、小規模のクラブが増えています。それは少子化により学校ごと学年ごとの生徒が減っているため、中規模のクラブは所属人数が減り活動が難しくなっているからです。その影響で小規模のサッカークラブが増えたと言えるでしょう。
だから、学年によってはチームが組めない問題を抱えています。そうすると4〜6年生で1チームしか作れないクラブがあり、そういったクラブからすれば11人制よりも8人制のほうが大会に出場し試合ができるから“8人制サッカー”は非常にありがたいんです。
また、学校によってはフルピッチのグラウンドは作れないけれど、8人制のピッチであれば可能だから他のクラブを招待して試合ができるというメリットがあります。当然、8人制はフルピッチ一面で二面のグラウンドを確保できるから大会運営においては助かる面が多々あります」
――関西クラブユースサッカー連盟への登録数は実際に増えているんですか?
「登録数は確認しなければわかりませんが、その点についてはジュニアを含めて連盟等に加盟せずに活動しているクラブもたくさんあります。そもそもすべてのクラブが協会や連盟に登録しているわけではありません。地域レベルでサッカーを楽しんでいるチームはたくさんあり、全国優勝がすべてではないんです。
別に全国大会につながる試合でなくとも、子どもたちは目の前の試合をプレーできればそれが一番楽しい! 裾の尾という意味ではレベルに応じて試合がやれているので、8人制サッカーはいい影響を与えている面も多くあると思います」
選手の“出場時間確保”の難しさ
――反対にデメリットは?
「うち(枚方FC)のようなマンモスクラブは学年ごとに人数が多く複数のチームを組まなければならないため、試合数が減ります。8人しか試合に出場できませんから、一学年50人いたら『何セット試合を組まないかんねん』という話です。
11人制だと現実的に出場を可能にすることができていたけど、8人制ではチーム数を増やすだけならいいですが、その分スタッフも確保しなければなりません。だからうちのようなクラブになると、試合数は減っているというのが現状です。レギュラーは少なくなるし、試合に出られないからとよそのクラブに行く子もいます」
――枚方FCだと、試合の出場数はどう調整されているんですか?
「うちは原則的に『みんな試合に出す』という方針です。だから、各コーチには『試合の出場機会が均等になるように』とは伝えています。コーチにも自主性を持たせるため口出しはしませんが、それぞれが『この試合はAチーム、今日はBチーム』など上手に調整してくれています。
もちろん完全に均等ではないでしょうが、CチームでもDチームでもちゃんと試合経験は積んでいると思います。親御さんからしたら『あっちが多い』という方もいますが、この問題は今だけに限った問題ではありません」
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