実戦に近い練習メニューを組み立てるうえで抑えておきたいポイントとは?【サッカービギナーコーチ養成講座】

2017年06月01日

サッカー練習メニュー


実戦的なトレーニングにしていこう


 攻守の切り替えなどの連続性、判断の要素、ゲーム中の要素のある「リアリティ」を含んだトレーニングを考えていきます。  

 例えば「ロスタイムで1点負けている」という状況を設定したいとき、みなさんはどのようなオーガナイズをするでしょうか? 1つの方法として、ミニゲーム前に 「AチームがBチームに1点負けている」という状況を設定してみます。そして 「Aチー ムの場合は引き分けでも勝ち、Bチームは引き分けだと負け」といったことを選手 たちに事前に伝えておくのです。こういった工夫だけでも、目的に近い状況下でのトレーニングを行うことができます。  

 1人のプレー回数を可能な限り増やすことも大切です。待ち時間が長かったり、プレーに関わる時間が少ないと、なかなか集中することができません。プロ選手でもそうですが、もっとも集中力が欠けるのがセットプレーの練習です。コーナーキックで1枚だけ残ったディフェンダーなど、プレーに直接関係ない選手に関しては、気が逸れているケースが多いでしょう。そのような場合は、2チームに分けてセットプレーでの成功・失敗を競い合わせる、セットプレー後にカウンターの状況を設定するなど、一工夫が必要でしょう。  

 コーチは選手たちが常に高い集中力の中で練習に取り組むことを習慣化させなくてはなりません。トレーニングの適正時間というものはあります。3時間も4時間もトレーニングを行っていては、「このトレーニングは適当にやっておこう」「どこかでさぼっておこう」と選手たちが考えはじめてしまい、高い集中力を保つことは難しくなります。

  海外と日本の差の1つに、練習中の環境があるのかもしれません。イングランドやオランダなどでは、練習であったとしても常に高い集中力と100%の力でプレーすることが求められるのです。一方、日本の中学・高校生年代では、60~80%の集中力でしかプレーしていない選手が多いように感じます。それは、彼らが悪いのではなく、小・中学生の頃に「集中する」という習慣を身につけることができなかった環境が問題なのかもしれません。

 そのように考えると、低年齢の頃から集中してトレーニングに取り組む習慣を身につけさせることが大切なのです。

 トレーニングの原則に「SAID」(特異性の原則)というものがあります。「Specific Adapt to Imposed Demend」の頭文字ですが「与えられた要求に特別に適応する」という意味です。低い負荷で長い時間練習していると、それに適応して試合での高い負荷に耐えられなくなってしまいます。短い時間でもかまわないので高い負荷の中、集中してトレーニングに取り組めることを意識しなくてはならないでしょう。


トレーニングを使い分けよう


 トレーニングにおいては、大まかに5種類に分類していますが、使い分けが必要になってきます。【ドリル】【ポゼッションプレー】【シャドープレー】【コンディショントレーニング】 【ゲームコントロール】といったものがあり、いずれも長所と短所がありますので、組み合わせることで、補完していきましょう。  

 基本としては、はじめは単純なトレーニングを行い、徐々に実戦に近い状況でのトレーニングにしていきます。【ドリル】⇒【ポゼッションプレー】⇒【コンディショントレーニング】⇒【ゲームコントロール】という流れを1つの柱として考えてみるのがよいでしょう。  

 もちろん、【ドリル】の後に【ゲームコントロール】を行い、選手たちに問題点を認識させて、それから【コンディションゲーム】を取り入れてみる、といった流れが有効な場合もあります。チームとして、どういった流れが効果的なのかを考えていくことが大切です。

用語解説!

SAID(与えられた要求に特別に適応する)

 身体の細胞は、特定の刺激に対して特定の反応を起こし適応していく。目的とする効果を得るためには、その特異性を考慮したプログラムを組む必要がある 改善したい項目や、プラスアルファしたい項目に合わせたトレーニングを組まなければ効果が得にくい。  

 低い負荷のトレーニングが長時間続くときも、その刺激に適応してしまって、トレーニングの効果が現れにくくなる。試合での高い負荷にも耐えられなくなってしまうので、バランスを取ることが必要となる。

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