サッカーで大切なのは「負けたくない」という気持ちだけ。南米の選手がカラダが強い理由
2017年06月26日
コラム南米の選手たちは日本人と比べても背丈はそれほど変わりません。しかし、球際の強さや体の使い方などの”差”は目に見えて分かります。その”差”はなぜ生まれるのでしょうか。横浜市で活動するエスペランサSCのヘッドコーチを務め、強くたくましい選手を育てることに定評があるオルテガ・ホルヘ・グスタボさんの言葉から“南米の選手がカラダが強い理由”を探ります。
(文●鈴木康浩 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部)
アルゼンチンの激しさの源流

「そもそも食べ物が違いますね」
まずグスタボさんは日本との食文化の違いを挙げた。
「日本の子どもと比べて、体重が違うんです。みんなよく肉を食べるし、その量も全然違います。バーベキューをやるとなれば、一人500gは食べます。アルゼンチンの子どもはみんなぽっちゃりしていて、子どもの頃はそれくらいがちょうどいいという感覚がある。
そして、サッカーをするときは、周りの選手たちに絶対に当たり負けしたくない、という感覚でする。技術やスピードではなく、強さによって自分の存在感 をゲームや遊びのなかで表そうとするんです。みんな負けず嫌いなので」
アルゼンチンの子どもたちがプレーするのは、バビーフットボールという6対6や5対5の少人数制のサッカーだ。コンクリートのような固いコートの上で、お互いが激しく身体をぶつけ合いながら競い合う。グスタボさんに映像を見せてもらった。
「これは10歳くらいの子どもたちですが、みんな体型がぽっちゃりしていますよね。バビーフットボールはスライディングがOKなので、みんな激しいでしょう?みんな試合に勝つことしか考えていないから、パスを綺麗に繋ぐことなどしないで、激しくボールを奪いにいっています。このバビーフットボールを、レドンドも、リケルメも、テベスも、ガーゴも、ソリンも(以上、全員がアルゼンチン代表経験者)、みんなが経験して育っていきました」

【元アルゼンチン代表:ファン・ロマン・リケルメ(写真右)】
映像はいかにもアルゼンチンらしいボール際の攻防の激しさが溢れていた。エスペランサでは日本人の子どもを小学生のうちにアルゼンチンの提携しているクラブに留学してもらい、この環境を体感させるのだという。
「最初は当たり負けをするのですが、激しいなかでやっているうちに、負けたくないという気持ちも大きくなっていき、当たり負けしないように自然と工夫をするようになります。当たるときの重心の高さや相手との駆け引き、身体の使い方、足の裏の使い方といったコツやタイミングをしっかりマスターすると次第に順応できます。
エスペランサには 10歳のときにアルゼンチンに半年ほど留学した選手がいるのですが、彼はバビーフットボールで得点王になって日本に帰ってきました。今は19歳で、まるで大久保嘉人(FC東京)のようです。今後出てくる選手ですよ」
何よりも闘えるかどうかをベースにするアルゼンチンでは、フィジカルトレーニングに取り組む時期も早いという。
「10歳からフィジカルトレーニングに取り組みます。走ることを中心にラダートレーニングをしたり、ジャンプをしたり、腕立てもやったりするし、互いに肩で激しくぶつかり合ってからダッシュするようなトレーニングも頻繁に行います。日本ならば高校生からやるようなフィジカルトレーニングを5年以上も先にやっています。だから13歳や14歳の子どもたちがみんな腹筋に目覚めたりするんです。日本ならば高校生になってからでしょう?」
日本人との骨格の違いなどもあるので一概に良し悪しは言えないが、アルゼンチンの子どもは肉をよく食べ、相手に当たり負けせずに自分の存在を主張できるかどうかを基準にするのだから、ごく自然の流れだろう。
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