ジュニア年代における”飛び級”の活用術を知る。 子どもに「自分たちはエリートだ」と、勘違いをさせてはいけない

2017年10月12日

コラム

ジュニアサッカーの現場にはさまざまな疑問や悩みがつきもの。指導者から子ども、そして保護者の方々が抱くものを、ファンルーツの指導者たちがアドバイスします。今回は、ジュニア年代における「飛び級」について考えます。

(再構成●ジュニサカ編集部)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.32』より転載


Q

能力の高い選手は、積極的に「飛び級」を経験させた方がよいでしょうか?


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複数の選手に「飛び級」を経験させる

 飛び級自体は、悪いことではないと思います。一つ上の学年でも通用する場合は、スキルアップの良いきっかけになり得ます。ただし、子どもや保護者の方が「自分たちはエリートだ、ほかの人たちとは違う」と勘違いしてしまうようなことは避けなければいけません。

 飛び級を経験した後、元々いたカテゴリーに選手を戻してみてください。そのときに、上級生チームでの経験をうまくチームに還元できるようであれば問題ないと思います。しかし、自身がハイレベルな世界を経験したことで「お前らは(オレたちと違って)下手だな」などという態度を取るようであれば、逆効果にさえなりかねないと思います。

 謙虚に自分に足りていない要素を自覚して、解決に向かって自主的に取り組む姿勢こそが選手を成長させます。そうした姿勢を奪うような効果があっては、貴重な経験も台無しです。ケースバイケースですが、複数の選手に「飛び級」を経験させて、入れ替えながら行うことができれば一つの対処法になると思います。同学年の中で切磋琢磨しながら一つ上の学年のサッカーを経験することで、勘違いをしてしまうリスクを軽減し、自分の課題を高く明確に持つことができるからです。

 また、「飛び級」を経験する際は、先述の「勘違い」のほかにケガに対するケアが必要です。上級生と対峙することでスピードやパワーの差に苦しむ、あるいは今まで以上に踏ん張る力が必要になるという場面が増えるので、身体の負担が大きくなる可能性が大きいです。

 そのため、ケガの予兆がないか様子を見ながら行う必要があります。逆に体のサイズが大きい選手は、積極的に飛び級を経験した方が良いと思います。自分よりも体格の小さい同学年の選手とのプレーでは、いざとなれば力でねじ伏せることができるために、どうしてもプレーが粗くなりがちです。

 特に長身だった小学生の選手が、中学生や高校生になると体格差がなくなって苦しむというケースが少なくありません。技術や戦術理解の面で成長するためには、体格の差で勝つという場面を減らすことで効果を得られることがあります。

 

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