「売られたケンカは買う」。恩師が語る井手口陽介のルーツとは
2017年11月06日
コラム2017年8月31日に行われたロシアワールドカップアジア最終予選、日本対オーストラリア。1−0で迎えた88分、日本代表は井手口陽介(ガンバ大阪)がミドルシュートを突き刺し、ロシアW杯出場を決めた。井手口のようにガンバ大阪アカデミー出身の選手たちは、“ここぞという大一番”で輝きを放つ。たとえば、2002年の日韓ワールドカップで2得点を挙げた稲本潤一。同時期、抜群のリーダーシップでキャプテンを務めた宮本恒靖。2005年、ドイツワールドカップアジア最終予選の北朝鮮戦で決勝点を叩き込んだ大黒将志などがそうだ。 ざっと思いつくだけでもこれだけいる。今回は、ガンバ大阪アカデミーのの指導者たちの言葉を『フットボール批評issue18』(11月6日発売)から一部抜粋して紹介する。
文●海江田哲朗 写真●Getty Images、海江田哲朗
『フットボール批評issue18』から一部転載
井手口に「教え込んだ印象がまったくない」
G大阪ジュニアユースの監督を務める梅津博徳は、中高時代の井手口をよく知るひとりだ。梅津もまたG大阪の育成組織で育ち、ユースの同期には稲本や橋本英郎、引退した新井場徹がいる。トップ昇格は叶わず、近畿大を出て、指導者としてG大阪に帰ってきた。
「最初はジュニアを教えるアルバイトです。陽介と初めて会ったのはジュニアユースの1年生を受け持っていたときですけど、ほとんど一緒にやってないですね。あいつはすでに 中3のチームでプレーしていましたから」
2011年、梅津はユースの監督に就任。冬のJユースカップ開幕を前にし、当時中3の井手口を使わせてほしいとジュニアユース監督の鴨川幸司に願い出る。
「僕の印象では、サイドハーフで点が取れる。起点もつくれる。守備の起点にもなれる。三拍子そろっている選手。ユースがワンピース足りない感じだったんで、カモさんに貸してくださいと頼んだんです。あいつなら充分にやれると」

【中高時代の井手口を指導したガンバ大阪ジュニアユース監督の梅津博徳。井手口に対して「何かを教え込んだという印象がまったくない」と振り返るが、中3の井手口を三拍子そろっていると見い出し、ユースの環境に引き上げている。】
その頃にはすでに形成されていた井手口のプレーヤーとしての本質について、梅津は言う。
「縦へのダイレクトプレーの申し子。前にとびきり速くプレーできる選手です。攻撃に移った瞬間に仕掛けられ、状況を一変させられる」
素早い攻守の切り替えによって生まれたオーストラリア戦のゴールは、井手口の特長が凝縮されたプレーということか。
「あんなふうに流れに乗って前に出ていくのはジュニアの頃からできていたと思います。ガンバのアカデミーの選手は大人びている、大人びたサッカーをするという評をよく聞きますが、そんなことはなくてね。各々の選手が瞬間ごとに判断し、ゴールを目指す。ただそれ だけのこと。その自然なスタイルはブレていないはずです。
ひとつ上の世界にいこうと思ったら必要な要素ですから、できるできないは別にして選手に求めます。その点、陽介は 当たり前のようにできていました。だから、何かを教え込んだという印象がまったくないんです。筋トレをしているのは見たことがないけど、フィジカルは人一倍強い。家でこっそりやっていたのかもしれませんがね」

【オーストラリア戦で決めた井手口のゴールについて梅津監督は「流れに乗って前に出ていくのはジュニアの頃からできていた」と話す】
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