判断は“頭”でするものではなく“感情”でするもの。元フットサル日本代表監督の言葉から紡ぐ「すべてを出し切る指導」の真意
2017年11月15日
コラム
【ミゲル氏はあくまで客観的に『成功して褒めること』と『ミスして修正すること』のバランスの重要性を教えてくれる。(写真●松岡健三郎)】
指導者たち自身が変わり、自信がつく指導法を探す
日本の指導現場を見ていると、よく子どもに「変われ」と言っているが、ミゲルは「指導者も変わらなければならない」と発言していた。ミスの修正方法もその一つ。彼は具体的にこのように述べていた。
「成功したら褒めると伝えると『練習中にミスをしたらフリーズして修正をしないのですか?』という指導者がいます。当然、ミスは修正します。私が伝えたいのは修正のやり方なのです。大切なのは『成功して褒めること』と『ミスして修正すること』のバランス。経験上、そのバランスは8対2、7対3ぐらいです。10回のフリーズのうち、ミスの修正は3回ほどです。重要なことは『何を指摘し、どう修正するのか』。ここがジュニア年代の子どもたちにとって大きな鍵を握っているのです。
フリーズのやり方には構成があるのです。1回目はミスを修正するためで、2回目は成功を褒めるためのものです。同時に言葉のかけ方にも注意します。例えば、ある子がミスをしました。その時は、まずダイレクトにミスを指摘するのではなく、遠回しに『こうすればよかったんだ』と気づかせるような言い回しをします。『トライしたことは悪くない』と。このタイミングでどう気づかせるかといえば、子どもたちに問いかけるのです。『今の決断は良かった。悪い判断ではなかったんだが、もっと違う選択肢もあったんじゃない?』と。最初から『君がやったことはダメだったんだ』と否定すれば、その後に修正しても頭にも心にも響きません。次にこのように続けていくのです。
『右も見られたんじゃない?』
『誰がいる?』
『DFはどっちが多い? 少ない?』
『左が多いよね。なら、どっちから攻めた方がいいと思う?』
そう問いかけながら状況を把握させ、その中でベストなプレーに気づかせてあげるのです。そして、ミスした時と同じ状況を作り、もう一度子どもに判断をさせてプレーさせ、成功したら褒めてあげてください。もしミスをしたとしてももう一度同じように状況を説明してあげたらいいのです」
ミゲルのミスの修正方法を聞いていると、メンタル面に気を配りながら子どもが一つずつ局面に向き合えるような構成になっていることに気づかされる。フリーズも修正だけにとどまらず、成功体験がセットになっている。彼は成功が自信につながることを子どもたち自身にきちんと体を使って感情で体験させているのだ。
「私がジュニア年代の指導者たちに伝えたいことの一つに『いかに心に自信というガソリンをためておけるか』ということがあります。子どもたちはこのガソリンがたまった状態だから自信を持ってプレーできるのです。これは毎回の練習のモチベーションに大きく関わってきます。指導者がある時は子どもの目線にまで膝をつき、ポジティブな言葉を投げかけてアクティブにコミュニケーションをとること。そういう私たちの言動や行動が子どもの自信を持ったプレーに大きな影響を与えるのです」
高いモチベーションで練習し、その中で成功体験を積み重ねれば、子どもの心に自信という貯蓄が出来る。良い連鎖を生むことは、ジュニア年代の指導においてはとても重要だ。指導者は誰しも今日の練習が終わったときに子どもが「もっと練習したい」「早く次の練習にならないかな」という気持ちになることを切に願っている。ミゲルはそのキーワードに 『ゴール』を挙げた。
「高いモチベーションと自信の貯蓄という循環をサッカーで生むのに欠かせないのはゴールです。ゴールを決めることはモチベーションも自信もすべてを満たしてくれる最高の栄養です。だから、私は練習のミッションの一つに『全員がゴールを決めて家に帰ること』を掲げています。とにかくゴールを入れたら子どもは変わります。大げさなことをいえば、練習でゴールを決めていない選手がいたとしたら決められる状況を作ってあげたらいいと思うのです。それはPKでもいいですし、ちょっとしたサポートをしてあげてもいい。子どもの『またサッカーをやりたい』という心からの感情が生まれる一番のドーピングがゴール。
『今日の練習はどうだった?』と聞いて、『今日は5回もボールを取ったよ。7回も守備をしたんだ』と守備に喜びを見出す子はそんなに多くはいないでしょう。テクニックを重視する選手で『今日はまた抜きを3回も成功させたんだ』はあるかもしれません。ただ子どもたちにとってゴール以上に満足感を得るものはないでしょう。これを心に刻んでほしいのです」
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