ミゲルが考える“創造力”を育む方程式。サッカーもフットサルも「スペースをどう生み、どう有効活用するか」

2017年11月29日

コラム

CALI, COLOMBIA - SEPTEMBER 19:  Children from the Futsal Club CD Lyon take part in a Futsal Festival at the Coliseo el Pueblo Stadium on September 19, 2016 in Cali, Colombia. (Photo by Ian MacNicol - FIFA/FIFA via Getty Images)

サッカーの上達には「フットサルの活用」が世界の常識だ

 12歳まではゴールデンエイジと呼ばれ、非常に大事な時期です。

 そのジュニア年代の子どもたちには、多彩なトレーニングを行うことで早く考えることを身につけさせ、それを磨くことが必要です。そのために、私は「フットサルを活用することが非常に有効だ」と思っています。それは創造力を持つ選手を育てるときの方程式を思い浮かべてもらえたらわかるとおり、サッカーと比べると、フットサルはプレースペースが狭く、早く考えることが求められるスポーツだからです。

 私たち指導者は「最終的に、どんな選手を育てることが使命か?」と問われたら、きっと「創造力を持つ選手を育成すること」と答えるでしょう。

 そこにサッカーもフットサルも関係ありません。どちらも「スペースをどう生み、どう有効活用するか」が共通のテーマだからです。だから、日本でも「選手の創造力を培う要素がトレーニングの中に統合化された」スペインのインテグラル・トレーニングが一般化されることを願っています。『インテグラル・トレーニング』とは技術、戦術、視野、考える速度、決断、フィジカルという様々な要素を統合したトレーニングのことを指し、これが創造力を持つ選手を育てることにつながります。

 育成段階のトレーニングで重要なことは『スペース』です。そういう意味で、私は「サッカーの上達にフットサルを活用するのが一番適している」と確信しています。サッカーで起こる局面は、フットサルの小さいピッチでもたくさん登場します。スペースが狭いからこそフットサルでも、サッカーのプレーに必要とされる、すべてのことを表現できなければいけません。ボールタッチが多く、近い距離に敵が存在するから早く考えてプレーします。自然に、脳も鍛えられます。

 ジュニア年代の8人制サッカーだと、一人の選手がさぼっても残りの選手が何とか頑張ったらチーム全体をうまく動かせますが、フットサルはGKを含めて5人の選手しかいませんから全員が100%の力を出し切らないと試合になりません。100%の力を出し切ることが当たり前なのです。現代サッカーでは、攻守の切り替えが早く、すべてのポジションに多くの役割が課せられているからオールマイティで何でもやれなければならない側面があるため、その部分でも大いに役に立ちます。ここで、また一つ質問です。

 何歳まで、フットサルを多く取り入れることがいいと思いますか? 

 私の意見は9〜10歳です。その年齢になったとき、サッカーに必要なベースを身につけた選手になっていれば、11歳からはフットサルとサッカーの両方をやるといいでしょう。そして、『ポストゴールデンエイジ』と呼ばれる第二次成長期を迎える13歳になる頃に、サッカーを選べばいいのです。もちろん、フットサルが楽しいと思う選手はフットサルを選べばいい。

 11〜12歳でも週3〜4回の練習も「そのうち1回はフットサルの練習を取り入れるべきだ」と考えています。ボールの大きさも、スペースの広さも、ルールも違うから学ぶことが増えます。ブラジル代表のFWネイマールもDFマルセロもそういう道を歩んで活躍していますし、彼らもサッカー上達におけるフットサルの重要性をたくさんのメディアに発信しています。ネイマールが在籍していたサントスFCはフットサルチームを保有しています。

 彼も「週3回の練習のうち、1回はフットサルを必ずやっていた」と言っています。それを15歳までは続けていたそうです。所属するチームのレベルにもよりますが、両方続けていればどちらの道にも進むことができるから、選択肢を持つという意味でもジュニア世代の子どもたちには良いことではないでしょうか。

 世界的に見回しても、9〜10歳まではフットサルを取り入れていますし、私の意見ですが、特に日本人ではフットサルをやったほうがいいと考えています。日本の教育は、他国に比べてとてもいいものがたくさんあります。「前に習え!」といえば、みんながきれいに一列に並ぶことができたりするなど、他にもいっぱいあります。

 しかし「自らで考え、判断する」という点では、学校だけでなく、家庭内でも機会があまりに少なすぎます。だからフットサルをやることで、日本の子どもたちにもその機会を増やせばいいのではないかと感じます。私は日本の文化が大好きだし、それをなくす必要はありません。他国にない良い点がたくさんあります。よく日本人に「どうすれば日本人に足らない習慣を変えられますか?」と質問されます。そのとき、こう答えます。

「ピッチの中に、もう一つの新しい日本を作ればいいじゃありませんか」

 だって、日本の国旗はそうなっていますから。

NAKHON RATCHASIMA, THAILAND - NOVEMBER 01:  Japan coach Miguel Rodrigo reacts to a decision against Brazil during the FIFA Futsal World Cup, Group C match between Brazil and Japan at Korat Chatchai Hall on November 1, 2012 in Nakhon Ratchasima, Thailand.  (Photo by Chris McGrath - FIFA/FIFA via Getty Images)

【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法


<プロフィール>
ミゲル・ロドリゴ

1970年生まれ。スペイン・ヴァレンシア出身。イタリアのルパレンセ・パドヴァやロシアのディナモ・モスクワ、スペインのカハ・セゴビアなどで指揮を執った経歴を持つ。2009年6月〜2016年2月までフットサル日本代表監督を務め、その後、フットサルタイ代表監督に就任し、現在はフットサルベトナム代表監督として手腕を振るう。FIFAインストラクター、スペインサッカー協会フットサル指導者資格を保持。

 

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