子どもの“感情の爆発”を大人が否定してはいけない。ドイツの子どもが「遊びも常に本気」な理由
2017年11月30日
コラム言わずと知れたサッカー強豪国ドイツ。ドイツはサッカー強豪国であると同時に優秀な選手を輩出し続ける「育成大国」でもあります。そんなドイツでサッカー指導者として活動する中野吉之伴さんの著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』から子どもの自主性・向上心が伸びるメソッドを一部抜粋して紹介します。
(文●中野吉之伴 写真●Getty Images)
『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』から一部転載
子どもには「感情」の爆発を許される時間が必要
ある日の練習中、さっきまで仲良くサッカーをしていたはずなのに、気がつくと1人の子が泣き出していました。
どうしたんだろうと思って聞いてみると、「PKで勝負をしたけど、負けたから!」。そんなとき、どんな声をかけますか。
「そんなことで泣くな。たかが遊びのPKだろ?」 いやいや、彼らにとっては遊びだって本気なのです。そもそも、そうやってムキになってやるくらい面白いから、遊ぶわけです。
しかも、彼らは遊びの中でさまざまなことを学んでいきます。 ドイツ人にかぎらず、子どもというものは本来ものすごく負けず嫌いです。うまくいかなかったことを、すぐに納得できる子はあまりいないでしょう。
だから、どんな試合やミニゲームでも本気だし、だからこそ負けたりしたら、すねたり泣いたりしてしまいます。だって、悔しくてしょうがないのだから。泣くことしかできないのは、何とかしたくても、まだ何もできないし、どうしたらいいのかわからないから。子どもはもともとそんな強い気持ちを持っているのです。
ドイツでは、そうした子どもの感情の高ぶりをネガティブに捉えることはほとんどありません。むしろ、自然なこととして受け入れる傾向が強いと思います。それは子どもだけではなく、大人も遊びに本気になる人が多いからかもしれません。
何歳の人になっても夢中になれて、ときに少し感情的になるほど好きなものがあることは、人生において大きなよろこびの1つでしょう。
だから、ドイツの大人も、子どもたちのそうした感情を否定したりしません。子どもには子どもらしい感情の爆発を許される時間が必要だとわかっています。
そのため、子どもが感情的になったら、自然に腰を落として子どもと同じ目線になって話をする大人がたくさんいます。まずは子どもの思いを受け止める。どうしたらいいかを考えるのは、子どもの思いを理解したあとです。話を聞く前から答えを決めたりなんかしません。
【書名】ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする 自主性・向上心・思いやりを育み、子どもが伸びるメソッド
【発行】ナツメ社
【著者】中野吉之伴
【発売日】2017/11/13
⇒2014W杯、2017コンフェデ杯優勝。その強さの背景には、子どもがグングン伸びていく、ジュニアサッカーのしくみがありました。ドイツの大人は子どもの成長をどのように考え、どのようにサポートしているのか。現地在住のサッカー指導者であり、子育てにも奮闘する著者が、現地でしか知りえないジュニア指導の新常識を紹介します。
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