川崎フロンターレ、サガン鳥栖に見る「CBがもたらす優位性」/全少決勝大会レポート
2017年12月27日
コラムダイレクトでクサビを使える鳥栖CBの「戦術眼」
サガン鳥栖はここ一年で飛躍的に成長した。
昨年のCBは横パスやロングボールを多用していたが、今年のCBはもっと多いプレーバリエーションを持ちつつ、「攻撃のスイッチを入れる縦パス」を最優先してプレーしている。他のチームは横パスで自分たちの時間を作り、自分たちの心の余裕を生むことを優先しているが、サガン鳥栖は逆に相手に心の余裕を与えない選択をしている。
具体的には、ダイレクトでフォワードにクサビを入れる縦パスになるのだが、これは素早い判断が求められる。フォワードがパスを受ける状況はもちろん、その後にどんなプレーをするのかというイメージもできていなければならないから高いレベルでの戦術眼が必要になる。
鳥栖のCBはこのポジションでプレーするための素養を身につけている。プレスを受けても体を使ったボールキープやGKへのバックパスというプレーを頭に置きつつも、そのプレーがリスクを負っていることを理解しているからそのチョイスをあまりしない。
そのかわり、逃げ玉として逆サイドのサイドラインを狙ったロングキックで最終的に逃げる。この場合、味方のフォワードはその選択肢を持っているため、逃げ玉にならず、チーム全体としてチャンスに変える意識も非常に高い。
もちろんこの2つはチーム戦術としての約束事が明確にあるからこそ、CBの選手たちが自分のプレーを整理し、チャンスメイクとリスクとのバランスを考えたプレーができる。ボールを持つことは当然プレスを受けることになるから、その場合に「どう対処すべきか?」というプレーを持っておかなければならない。
「言うのは簡単だが、プレーさせるのは難しい」
そう思う指導者がいるかもしれないが、今大会の出場チームの多くは前線からプレスを受けても丁寧にビルドアップをしようとしていた。町クラブであっても「西宮サッカースクール」などしっかりとDFからのつなぎがやれている。昨年の「センアーノ神戸」の事例もあるから、兵庫は県全体としてそういう土壌があるのかもしれない。
いずれにしろ今大会、良質な CBがいるチームは攻撃に関して相手よりも優位性を作り出せているのは間違いない。大会はすでにベスト8が決定した。ここから先の戦いはCBに着目して観戦してもおもしろい。
【試合結果】第41回全日本少年サッカー大会 特設ページ【取材日記】
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