指導者たちに聞く!現代の環境の中で求められる指導法とは/座談会企画<後編>
2018年03月02日
コラム座談会企画後編では、現代の環境の中でジュニア年代に求められる指導法について、4人の指導者の方々にさまざまな意見をうかがいました。
構成●ジュニサカ編集部 写真●ジュニサカ編集部、佐藤博之
【登壇者】
進行:吉村 洋人(ジュニアサッカーを応援しよう!本誌編集長)
渡辺 恭男(ヴィヴァイオ船橋 代表)
菊池 一典(FCカーニョ 代表)
屋良 充紀(元シリア代表コーチ/エスコリーニャFC・リーベルプントFC 代表)
在原 正明(元フットサル日本女子代表監督/Jフロンテッジフットボールスクール)

【写真左から渡辺さん、在原さん、屋良さん、菊池さん】
「自由」がもたらすメリットとデメリット
吉村 日本のチームには様々なチームの考え方、育て方があります。しかし、それがジュニア年代からトップチームまで一貫したクラブが少ないように感じます。そこは問題なのかなとも思っています。
屋良 日本の教育システム、塾や水泳はバイトのお兄さんでも教えることができます。コンビニと同じですよね。マニュアルから外れなければいいわけです。
剣道、柔道には階級があります。僕は、そのやり方は日本の文化的にあっているような気がして結構好きで「これができたら級があがるよ」とか。そういうことを、うまく利用していけば、サッカーファミリーも増えると思います。1つのビジネスモデルみたいな。だから、水泳教室とかもなくならないわけですよ。サッカースクールもそうすれば、見栄えがいいし、親御さんたちも喜びます。
でも、そこで何を伝えるかですよね。サッカーの本質をついたトレーニングはたくさん種類があるわけではありません。枠の中にボールを入れれば1点なので、ゴールを決めるためにどうやって運び、マークを外すのか。その中で美しいプレーや奇想天外なプレーがあれば面白いわけです。
そのようなプレーをするためには、普段から自由を与えないといけません。自由を与えたいから、ドリブル、個人技が上手くなる練習を導入してドリブルしかできない選手に育ってしまったらそれは本末転倒ではないでしょうか。
菊池 それでも、その育成方式で傑出した選手が出たら「それでよかった」と、言われるようになります。
それは方法論ではなくて、子どもが持っている才能がメソッドをぶち抜いたことになるので、私たち指導者やコーチは、救える子もいるし、救えない子もいます。全部を助けることはできないので、できるだけ良くしてあげたいという気持ちが前提にないといけないと思っています。
在原 「ここまでにこれができないといけない」という考えが強くある方はドリブルを標榜する指導者には多いと感じています。
自由な発想が必要だと言いながら、インテリジェンスの部分とか、他の側面を全部切り離して「基本はこれだから、これができないから、うちの選手たちはそんなことできないんです」とか「これができないとサッカーにならないから、できるようになるまで戦術を習ってはいけない」と決めつけてしまう傾向は多く見られます。ただ、ドリブルはスピードと精度が両立していかないと上手くいかないのと一緒で、サッカーは「戦術」「体力」「精神力」が全部同時に試合で発揮されなければ良い選手になることができません。
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