指導者たちに聞く!現代の環境の中で求められる指導法とは/座談会企画<後編>

2018年03月02日

コラム

コンサドーレ札幌

今どきの子はドリブルをしない!?

吉村 ジュニア年代はドリブル好きの子どもが多くて、ドリブルばかりする子も見受けられますが、実際に現場に立たれている方の印象ではどうでしょうか。

菊池 全員が全員、ドリブルが好きではないと思います。ドリブルが好きな子、蹴ることが好きな子、いろいろな子がいますね。

在原 練習前、自由にさせていても1人1個ボールを持っているので、蹴っている子の方が多いですよね。「1vs1やろうぜ」って言う子は少ないですね。

屋良 ブラジルの場合、チームでボールを3個しか出しません。

在原 そうなると、皆で遊ぶしかないですよね。

屋良 子どもに1個ずつボールがないので取り合いになりますよね。

在原 大人がどういった環境をセットするか……。

菊池 やはり、下の学年に行けば行くほどドリブルが好きな子が多く、成長が速いです。自分のスピードもあって、目立ちたがり屋な子はドリブルが好きな子と言えるでしょう。自分でボールを占有できるから。

 逆に、ボールが回ってくるチャンスが少ない子は、ドリブルには興味を持たないですね。試合でボールは1個しかないので、ボールを占有していないとドリブルはできません。そういう意味では、体が大きくて足が速い子はボールを占有する能力が高いので、足元の技術が高くなくてもボールを前に蹴って走れば、「抜いた」状態になりますよね。そうすると「あ、俺って凄いじゃん」となる。ドリブルだけに頼ってしまう子は、こういったパターンが多いかなと思います。

屋良 体が大きい子がドリブルをすると、小さい子は避けてしまいますよね。

菊池 それはもう仕方ないです。

渡辺 私も子どもたち全員が全員、ドリブルを好きだとは思っていません。ただ、選手たちを観ていて感じるのは「失敗を経験しないで、育ってきたんだな」と……。

 例えば、パスは「ちょっとしか駄目だよ」と言ったら、途端に何もできなくなる子がいます。そういう子どもを見ると「失敗を経験しないで、育ってきたんだな」と感じます。

 まず、失敗を嫌う人はドリブルをしないですよね。ボールを失うリスクが高いですから。リーグ戦化されてきて、負けられないゲームが頻繁にあるので、試合に出られない子も多いし、試合に出場したらDFはリスク回避で前にボールを蹴るだけ、とか。それが、最近はさらに増えてきたのではないかと感じます。

在原 フットサルの観点からも思うことがあります。ドリブルに走ってしまう子はポジションの役割が整理されていません。実はポジションが決まっていないフットサルクラブはすごく多いんです。ポジションがぐちゃぐちゃになって、誰が前にいて、後ろの選手なのか、右も左も分からないカオスな状態です。全員がそれをやってしまうと、ポジションの役割とかスペースへの動き方が学べないで成長してしまうという事態が起きています。

 でも、フットサルでポジションが自由なクラブの選手たちでもサッカーになるとポジションを決めるんですよ。でもフットサルのコートで招待試合をするとポジションが無くなってしまうんです。

 ポジションの交換とかフォーメーションの変形など、フットサルは全ポジションが流動的に動くのですが、前には「ピヴォ」、後ろには「フィクソ」、サイドの選手は「アラ」というポジションの概念があります。幅をとる役割の選手、突破をするべき選手と突破するべきじゃない選手、それぞれのポジションには役割があります。そういった概念を本当だったら育成の段階で学ぶのですが……。

 それが6人、7人、8人になって役割が増えて、細分化される、かつポジションを前後半で変えて、このポジションだったら、こういう役割、こういうプレーが必要だとか、そういうことを教えるのが教育だと思います。それが全員ドリブルという価値観が一つになるとになると全員がサイドハーフのプレーをしてしまったりだとか、そういうことが起きしまいます。フットサルは育成の仕方次第では危ないものになってしまうと痛感しました。そういうところが色々と問題になっているのかなと感じます。

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【選手たちを観ていて「失敗を経験しないで、育ってきたんだな」と感じるとコメントする渡辺恭男さん(ヴィヴァイオ船橋 代表)】

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