Jクラブはどう地域と共存すべきか。湘南ベルマーレが行う「育成の価値観」を共有するための取り組み【短期連載】
2018年03月28日
コラム
【2016年に創設されたCOPA BELLMARE。昨年はパルメイラスやビジャレアルなど欧米の強豪チームが来日した】
湘南が選んだ地域への還元ツールの一つが『COPA BELLMARE』
――確かに、『COPA BELLMARE』という大会が地域に還元するものが大きいです。日本人の指導者同士では遠慮するものがあるでしょうし、海外から見た日本のサッカーをストレートに口にされると地域の指導者にとっても客観的にとらえることができます。
浮嶋「湘南ベルマーレだけが強くなるのであれば自チームだけが海外遠征に行けば済みます。正直、経済的な負担も減りますし、労力もかかりません。でも、この大会は数千人の方が来場しますし、小さい子どもたちも目の前で世界的なクラブの試合を見ることができるんです。
それは指導者も同じで、Jクラブとパルメイラスの試合を見ると現実を目の当たりにするんです。日本を牽引するJクラブが大量得点差で負けるわけですから、地元の指導者たちには大きな刺激になります。私たちも『井の中の蛙』にならないように世界との物差しをそこで作り直しますし、地域の指導者を始めサッカー関係者たちも自分たちなりの物差しを作るキッカケになります」
――日本では、あまり選手も指導者もサッカーの映像を見ません。世界のサッカーを目にすることはイメージの蓄積につながるので、私は必要なことかなと感じています。
浮嶋「サッカーをとらえる上では物差しがあることが大切です。私もC級ライセンスを取得したときは感動しました。昔は世界との差をはかるなんて簡単にはできませんでしたが、いまはイングランドやスペイン、ドイツなど世界各国のサッカーを観戦できます。物差しがきっちりと明確なものであるほど世界との差をはかれますし、指導者にとってサッカーに対する基準を作ることができます」
――ボランティアコーチのような方でも世界のサッカーを見て「いいプレー」をいくつも知っていれば、それを子どもたちに指導はできなくとも「いいプレーが何か?」を伝えることはできると思います。
浮嶋「私がバルサの子どもたちを見ていて感じるのは、勝負どころがわかっていることです。彼らはきっとトップ、また自国リーグの試合を目にしていることが多いでしょう。だからか『ここのプレーは絶対に大事だ』というのを肌感覚で理解しています。
バルサの選手は『ここでミスしたら交代させられる』がなんとなくあるからボールを奪われてもすぐに奪い返すし、一般的なサッカーのセオリーを知っています。自然に目にしたものの中で、自然に身についています。サッカーは見たりプレーしたりしないと自分の中に蓄積されないものです」
――すべてのプレーについて言えますが、特にゴールが絡むプレーについては海外の選手たちは日本の選手たちよりうまいです。
浮嶋「ジュニア年代を含め、もしかしたら日本のクラブはシュートを打っている回数が練習から少ないからかもしれません。あと、たとえばドイツとかはゴールの数(ゴールポスト)がそもそも多いです。ソフト、ハードの面から見ても課題があるように思います。
私たちはできるだけゴールを入れたトレーニングを基本としています。やはり子どもたちはゴールをつけないと生き生きプレーしません。日本のトレーニングではボールを取られないように回すことが目的になってしまい、シュートを打つことが少ない気がします。決定力不足が嘆かれて久しいですが、日頃からシュートを打つ回数が少なければ意識もテクニックも養えません」
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