「200人以上受けて合格したのは彼1人」。”生え抜きGK”中村航輔の柏レイソル入団秘話
2018年06月15日
サッカーエンタメ最前線12日(火)に行われた親善試合・パラグアイ戦で後半から出場したGK中村航輔選手(コアラSC/柏レイソルU-12/柏レイソルU-15/柏レイソルU-18)はジュニア時代から柏レイソルの下部組織に所属している生粋の生え抜き選手です。2017年シーズンにJリーグベストイレブンに選出され、「2018FIFAワールドカップロシア大会」の日本代表メンバーにも入るなど成長し続けている中村選手のジュニア時代を振り返ります。
文●元川悦子 写真●GettyImages
『僕らがサッカーボーイズだった頃4 夢への挑戦』より一部転載
カーンに魅了された少年時代
江戸時代に八代将軍・徳川吉宗が桜を植え整備した飛鳥山公園があり、 世紀には日本初の洋紙会社・王子製紙が創業するなど、東京北部の工業地域として発展を遂げてきた王子。この地で1995年2月に誕生し、成長したのが中村航輔だ。
奇しくも、柏が待望のJ1昇格を果たし、現在の日立柏サッカー場が完成したのもちょうどこの年。未来の守護神は目に見えない運命に手繰り寄せられ、黄色のユニフォームを身にまとうことになるのだ。
両親に3つ上の姉という家族構成の中、航輔少年は愛情を注がれて育った。「航がわたる、輔が2番目という意味を込めて両親が命名したと聞いています。呼びやすくて、いい名前ですね」と本人も言う。逞しく成長してほしいという家族の願い通り、彼は外に出て遊び回る活発な幼少期を過ごした。
本格的にサッカーを始めたのは、小学校1年の時。東京北区で熱心に活動している町クラブ・コアラサッカークラブ(SC、現ヴィルトゥスサッカークラブ)に入ったのがキャリアのスタートだ。「僕が『サッカーをやりたい』と言ったら、親が探してきた近くのチームがコアラSCでした。王子近辺の子どもが集まっていて、1学年10人、全体で50人くらい。週3回練習していました。指導もきちんとしていて、ドリブルやパスといった基本とゲーム中心の練習をしていたと思います」と彼は小学5年まで過ごしたチームの活動内容を説明する。
ポジションは当時からGKだった。
航輔少年がコアラSCに通い始めたのは、2002年ワールドカップ日韓共催大会で 日本中が大いに盛り上がっていた頃。
優勝したブラジルのロナウド、リバウド、ロナウジーニョの「3R」、イングランドの貴公子、デビッド・ベッカムも人気を博したが、準優勝したドイツのオリバー・カーンも一世を風靡した。独特のオーラを漂わせる勇敢な守護神に航輔少年は魅了され、GKへの思い入れを強めたという。
「2002年の決勝もテレビで見ましたけど、カーン選手は男の子が憧れるかっこよさを持っていたのかなと。優勝したブラジル以上にインパクトが大きかったような気がしました。僕自身もシュートを止めることを楽しんでいたし、その魅力にはまった感じです」と、彼はいう。
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