ここがヘンだよ日本の育成。 選手に判断をゆだねられないのはなぜ?

2018年09月30日

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前編(テクニックの使い方を知らない日本人選手。技術ばかりを磨く育成環境に疑問)では日本人選手の課題として「テクニックの使い方が知らない」ことを挙げた。だが、それだけではない。「選手が自由に判断できない」ことも日本の子どもたちの成長を阻んでいる大きな要因である。日本の育成は間違い・問題だらけだ。そういった原因を生んでいる理由はどこにあるのか?英国人ジャーナリストのショーン・キャロル氏が全国津々浦々を取材して見えた日本サッカーの景色とは。

【前編】テクニックの使い方を知らない日本人選手。技術ばかりを磨く育成環境に疑問

英国人から見た日本サッカー“摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』より一部転載

文●ショーン・キャロル 写真●Getty Images、佐藤博之


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効率性や適性よりも〝反復練習〟や〝費やした時間〟を重視する日本

 正確性や複雑なスキルを習得するために反復練習に重点を置くことは、より一般的な、日本における学び方が反映されたものだ。

 たとえば、日常的に用いられる2136の漢字をすべて覚えるためには、ほぼ丸暗記以外に方法はない。他の外国語も、有機的なコミュニケーション重視のスタイルで語彙を身につけられるようにするよりも、聞いた言葉を復唱したり、文を書き写したりというやり方で教えられることが多い。

 ある物事を行うために費やした時間は、作業への実際の効率性や適性以上に、熱心さや能力を明確に示す指標だと見なされることが多い。学校と宿題を終えた子どもたちを塾へ通わせることにも、会社員が異常な量の残業の末に〝カロウシ〟してしまうことにも、あらゆる場面にその考え方が表れている。陳腐化しながらも、日本文化にまだ根づいている習慣だ。若手育成の問題点を解決するためには、そういった側面が現れる場面があることを認識しなければならない。

 相手を打ち負かすという試合の究極の目標に重点を置かず、相手に容易に分析・対策されてしまうテクニックの練習にこだわりすぎること。それこそが結局のところ、日本がトップオブトップの中で勝負する力を持てない問題の中核に位置している。

「試合の中にはさまざまな要素がある。試合に繋がらないような間違った形での指導をするのなら、よいことだとは思えない。子どもたちに、そういう指導をしているケースが多すぎると思う」。モザンビーク代表を率いた経験も持つエンゲルス氏はそう語った。

「たとえば、アフリカや南米の子どもたちがサッカーを始めるときの様子と比べてみるとどうだろうか。場合によっては 13歳や 14歳など、本当に遅い年齢まで、彼らはサッカーを〝どこかでプレーする〟だけでしかない。それでも彼らは、意義ある練習のために〝何をすべきかを考えすぎる〟多くの国よりも、成功を収めていることを認めざるを得ない。ストリートで4対4や5対5、6対6のプレーを通して、ある意味で実際の試合にはるかに近い形で成長している。今でも世界最高の選手たちの一定数は南米やアフリカから出てきている。さほど組織的なわけでもないし、日本などのように金があるわけでもない。だが、そこにキーポイントのひとつがある」

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