楽しい練習で「競争心」を煽る。スピードとスタミナを伸ばす方法
2019年01月09日
コラムスピードとスタミナを伸ばすにはどんなトレーニングが効率的なのか。「両方をクリアできるポイントは、競争心だと思います」。そう語るのはアルビレックス新潟シンガポールのトレーナーとして子どもたちを指導した経験があり、現在、カターレ富山でフィジカルコーチを務める新田涼氏。競争心を刺激し、スピードとスタミナを伸ばす具体的なトレーニング方法を新田氏に教えてもらった。
『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.45』より転載
取材・文●鈴木康浩 写真●佐藤博之
スピードとスタミナを伸ばすキーワードは「競争心」
試合中に何本もダッシュができて、かつ、試合が終わるまでスタミナが持つ選手――。現代サッカーではそういう選手が理想的な選手とされる傾向がある。では、ジュニア年代の子どもたちが、スピードとスタミナの両方を効率よく伸ばすためには何をすればいいのだろうか。Jリーグの栃木SCでフィジカルコーチを務める新田涼氏(現カターレ富山フィジカルコーチ)にプロの意見を聞いた。
新田氏はかつてアルビレックス新潟の海外支部である、アルビレックス新潟シンガポールでジュニア年代の子どもたちを指導していた時期がある。また、2014年から2年間は湘南ベルマーレのコンディショニングコーチ(フィジカルコーチに相当)として活躍した。湘南ベルマーレといえば、爆発的なスプリント力とそれを90分間持続させられるスタミナを兼ねるチームの代表格として知られるが、そのチームに身を置きながらフィジカルへの働きかけをしていた新田氏の実感を聞いてみたいと思った。
ずばり、ジュニア年代の子どもたちがスピードとスタミナを両取りしながら伸ばためのキーワードは何なのだろうか。
「両方をクリアできるポイントは、競争心だと思います」
新田氏の答えは明白だった。「一人だけで走ってもなかなかスピードは出ません。必ず誰かと二人以上で競い合うとか、チーム同士の対抗戦にするとか、競争をすることでトレーニングのスピードは上がり、スタミナも身につくと思います」
たとえば、どんなメニューが最適だと考えるのだろうか。
「僕がシンガポールで子どもたちを指導していたときはフットサルコートのサイズでトレーニングすることがほとんどだったので、たとえばですが、このトレーニングメニュー①のようなイメージです。フットサルコートのサイズに片方だけゴールマウスを付けて、左右両サイドのタッチライン際にはそれぞれマーカーとスラロームを設置、合図とともに両サイドから2人の子どもがスタート、向こうまで行って戻ってきたらコーンを曲がって、そこからコーチ役がボールを供給し、1対1がスタート、ゴールを決めたほうが勝ち、というようなイメージですね」
■トレーニングメニュー①
■ルール
コーチの合図で右側の選手がスタート。少し遅れて左側からDF役がスタート。二人ともマーカーとスラロームを通過して、戻ってきてコーンをターン、そこでコーチからボールをもらう。攻撃側は、予めゴール横に待機して待ち受けるもう一人のDF役と1対1の勝負をスタート。そこに後からスタートしたDFがヘルプに入るというトレーニング。
猛ダッシュしてからの1対1なので結構きつそうなメニューだ。これがスピードとスタミナ、両方追求できるベーシックなトレーニングで、あとはアレンジを加えていけばいいという。たとえば、サイドからのドリブル突破の攻撃が弱いチームであれば、そのポイントを意識してセッティングをアレンジすればいいのだ。
「まずは子どもが自然と、楽しい、勝ちたい、と思えるような、競争心を煽るような設定を作ることが大事です。そして競争に負けたほうの子どもには否定するような声掛けはせずに、『こういうステップを踏むと、あのスラロームはもっと速くなるね』といった声掛けで指摘をしてあげて、勝った子どもへのライバル心を促します」
カテゴリ別新着記事
ニュース
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 『JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12』2017年度の参加メンバー768名を発表【変更あり】
- ポジションが変わらない息子
- 山口育成担当技術委員長に聞く! リーグ戦の推進は四種年代のサッカーをどう変えるか?
- 【高円宮杯第26回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会】決勝レポート「FC東京U-15深川が逆転で日本一、6年ぶり2度目の優勝」
- 【ジュニアユース 体験練習会】VERDY S.S. AJUNT(東京都)
- 柏レイソルが後半の逆転劇で2年ぶりに全国行きの切符を獲得!!/第41回全日本少年サッカー大会 千葉県大会
- 反復練習に時間を費やす必要はない。 戦術理解を養う「止める・蹴る」の指導法とは
- 夕食は18時が理想的。それができない場合は? 「睡眠の質」を高める栄養素
- 「JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦」参加メンバー発表!
- 子どもの”強い心”を育むために親が「できること」「してはいけないこと」