楽しい練習で「競争心」を煽る。スピードとスタミナを伸ばす方法

2019年01月09日

コラム

週一、 30分で子どもは成長する

 新田氏がシンガポールでジュニア年代の子どもたちを指導していたときは、「子どもたちのスピードと体力アップを図ってほしい」との依頼を受けて、一月に3回程度、一日2時間の指導時間を与えられていた。新田氏が指導した日の2時間の内訳は、前転・側転・キャッチボールなど神経系に働きかける様々な運動をするウォーミングアップが30分、その後にフィジカルトレーニングが30分、その後ボールを使ったゲーム形式などのトレーニングが30分、ラストの30分がグラウンドの使用時間一杯まで各自の自由時間、という構成が主だった。新田氏が指導しない日は、フィジカルトレーニングの30分間がボールを使ったトレーニングに変わる、といった具合だ。
 
 新田氏がフィジカルトレーニングを行う際の注意点を指摘する。

「今回紹介したメニューのようなフィジカルトレーニングを実施するにしても、本数や強度を考えると、30分以上やると子どもたちにとってきつい状況だったので、様子を見ながら、15分から30分程度で済ませるように調整していました。ただ、子どもは競争のなかで楽しさを感じていると、あまりきつそうな様子を見せずにいくらでもやり続けることができてしまうんです。子どもは乳酸も溜まりにくいですから。そこは指導者が『これ以上やるとゲームでばてちゃうだろうな』と思うラインを敏感に察知したほうがいいと思います。僕は、子どもたちが最後の30分間のゲームが楽しいと感じられないほどに疲れてしまうのは嫌だったので、あくまでゲームが楽しめることを前提に、その前にちょっとしたフィジカルトレーニングをする、という考え方でした」

■トレーニングメニュー②
図2

■ルール
コーチの合図で両側からスタート。ミニハードルを越えて、ゴール裏を通って、コーチからボールを受けて1対1がスタート。攻撃側がシュートを決めるか・外すかで最初の1対1は終わり。攻撃側がシュートを決めたらまた攻撃、外したら今度は守備側が攻撃になる。すぐに切り替えて、奥のコーン付近で前転、コーチからボールを受けて二度目の1対1をスタート。

 
 なお、競争心をキーワードにフィジカルトレーニングを行うにしても、子ども同士が競争のなかでバッティングしてケガをすることがないように、必ずお互いの視野が確保できるような設定で勝負させるなど、安全面には十分に配慮していた。それから、シンガポールは年中暑いので、熱中症対策として子どもに常に帽子を被らせてフィジカルトレーニングを行うなど留意したそうだ。
 
 新田氏はシンガポールのスクール生に対して、前述したフィジカルトレーニングを週に一回程度、全体のトレーニングのなかに30分ほど組み込むことで、数値を厳密に計測したわけではないが、半年が経った頃には、子どもたちの心身の発達とともに、肌感覚としてスピードやスタミナ面の成長を十分感じることができたという。

「週一回程度のフィジカルトレーニングを導入するだけでも、半年もかからないうちに効果は出てきたと実感しています。試合を見に行くと、ずっと走れているな、という印象があったし、あとは子どもたちが負けず嫌いになっている、とも感じました。奪われたボールを悔しがって追いかけてすぐに奪い返したりしていたので、それも『競争』を意識付けした成果かなと思います。そんなふうに子どもたちが団子状態になってボールを追うのはやっぱり楽しいんです。そこに戦術を入れて、サイドに広がってボールを回して、ここは守備にいく・ いかない、とやってしまうと、サッカーが楽しいと思えない子も出てきてしまう。でも『競争』を意識すれば、どんな子どもでも楽しみながらぐんぐん成長できるのかなと思いますね」


<プロフィール>
新田涼(にった りょう)

1987年6月23日、愛知県出身。JAPANサッカーカレッジを卒業後、09年からアルビレックス新潟シンガポールでトレーナーとして従事。14年から湘南ベルマーレのコンディショニングコーチ、16年から栃木SCフィジカルコーチ。18年からはカターレ富山のフィジカルコーチとして活動している。


 

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