「有能感」を持たせる。それが一番大事。いわきFCが運動能力にアプローチする理由
2019年01月21日
コラム
日本が3種や4種でしか世界に通用しないカラクリ
――『生物学的年齢』はなかなか聞かない名称です。
「子どもには成人するまでに、生まれて経た年数の暦年齢とは別に、骨の形成年齢に基づいた生物学年齢があります。
東西冷戦時代に圧倒的な強さを誇った東ドイツにおける選手育成システムを、私は長く研究してきました。彼らの知見から分かったのは、どうも暦年齢と生物学年齢の差は最大で±3歳くらいあることなんですね。例えば10歳のカテゴリーの中に、中学生と小学校の低学年がいるということです。
なのに、同じ条件でプレーしなければいけない、というのが子どもの頃のスポーツの大きな問題です。ですから、まずは生物学的年齢を特定しなければいけない。それが早熟なのか、あるいは晩熟なのかということです。
例えば北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎内野手は、小学校6年生の段階ですでに大人だったと思われます。大人の選手がリトルリーグのルールの中でプレーしているわけですから、ホームランを打ちまくるのは当たり前、ということになります」
――確かに一人だけ、図抜けて体が大きかったですよね。
「こういう子どもには、もっと上のカテゴリーでプレーしてもらいましょう、ということ。まずは。そうしないと、残念ながら晩熟の子どもが絶対に不利になるし、気がついたら早熟の子ばかりのチームになっている。
早熟の子どもを集めれば、そのときは勝てる。日本のジュニアユースやユースが強いのは、そこが理由の一つです。欧米人は成熟がアジア人よりも遅いんですね。U-12とかU-13はヨーロッパ勢といい試合をするじゃないですか。
日本人は大人が試合をしているかようなものなので、ヨーロッパの子どもたちはその後から急激に伸びてきて、結局、そこで抜かれてしまうカラクリがある。なので、生物学的年齢をちゃんと特定しましょう、と」
――特定する方法とは。
「正確にはレントゲンによって骨の成熟度合いを見ます。しかし、さまざまな理由もあってレントゲンによる特定は難しいです。ざっくり言うと、まずは大人になったときの身長を予測します。
成人身長と言いますが、そこから今現在の身長がどれくらいの割合のところまで来ているのか、さらに年間の身長発育量を見ます。そうすると、ある地点で大人になるときが見えてくる。東ドイツが昔から研究してきた知見があるので、その手法を応用している、という感じですね」
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