冨安健洋、堂安律―― 。森保ジャパンを突き動かす20歳はいかにして育まれたのか
2019年01月31日
コラム堂安律、冨安健洋――。UAE(アラブ首長国連邦)で開催されているアジアカップ2019で、2人は日本代表を決勝に導く原動力になった。少年時代から才能の片鱗を見せてきた彼らはどのようして育ってきたのか。2月6日(水)発売となる『フットボール批評issue23』では、両選手の指導者への取材から二人の成長の根源を探った。
『フットボール批評issue23』より一部転載
取材・文●元川悦子 写真●Getty Images

【冨安健洋(左)と堂安律(右)。弱冠20歳ながら日本代表の中心選手として活躍している】
W杯初出場を知らない2人の新鋭
ロシアワールドカップ(W杯)後に西野朗監督からバトンを引き継いだ森保一監督は、「日本らしさ」というキーワードの下、連動性と臨機応変さを兼ね備えたチームを構築すべく、若手新戦力を次々と抜擢。吉田麻也(サウサンプトン)や大迫勇也(ブレーメン)、柴崎岳(ヘタフェ)らロシア組と彼らを融合させることで、着実に強化を図ってきた。
新生ジャパン最初の試金石となったのは、1月の2019年アジアカップ(UAE)。初戦・トルクメニスタン戦(アブダビ)の先発でひと際目を引いたのが、堂安律(フローニンゲン)と冨安健洋(シントトロイデン)の20歳コンビだ。2人は92年アジアカップ(広島)初優勝はおろか、98年フランスW杯初出場も知らない世代である。
堂安は最初の失点につながるパスミスをおかしながら、2-1で逆転した後半26分、巧みな反転から左足を振り抜いて3点目をゲット。小野伸二(札幌)が持っていた同大会史上最年少ゴールの記録をいきなり更新する。「失点につながった場面に対してもハーフタイムに絶対に謝る気はなかった」と堂安は堂々と言い切った。言葉ではなく、プレーで取り返そうと心に決めていたのだろう。それを実際にゴールという結果で果たしたのは特筆すべき点だ。
冨安も不慣れなボランチで苦労するも、思い切った攻め上がりなど大胆さを垣間見せた。前半31分にはペナルティエリア外から思い切ったミドルシュートを放ち、後半13分にも自ら突破してゴール前へ出ようと試みる。この積極性は前向きに映った。
「カウンターの芽を摘むのが僕の仕事だったのにカウンターでやられていた。攻撃面でももっと状況を変えるパスを出さないといけなかった」と本人は反省の弁を口にしたが、初のA代表ボランチ先発にしては健闘したのではないか。さらに2戦目・オマーン戦(アブダビ)では本職のセンターバックでプレー。不安定な部分もあったが、守備のマルチ選手という長所を存分に示してくれた。
彼らを貫くのは大胆不敵の精神だ。世界を怖れぬ20歳を、いったいどのような環境が育んだのだろうか。
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