日本で「人と同じことをやっていても選手は育たない」。それが興國の流儀
2019年02月01日
コラム全国大会出場未経験でありながら、大学経由を含め、これまで14人の選手をプロの世界へと送り込んでいる興國高校サッカー部『興國高校式Jリーガー育成メソッド ~いまだ全国出場経験のないサッカー部からなぜ毎年Jリーガーが生まれ続けるのか?(著●内野智章)』。選手権やインターハイを経験していないサッカー部からなぜ、毎年のようにJリーガーが生まれ続けるのだろうか? 前回(監督が「チャラけて」選手のバリアになる。興國高校サッカー部がプロを輩出し続ける秘密)に引き続き、興國高校サッカー部を率いる内野智章監督の話からその秘密を探っていく。
取材・文●吉村憲文 写真提供●興國高校サッカー部
【内野智章監督インタビュー第1回】監督が「チャラけて」選手のバリアになる。興國高校サッカー部がプロを輩出し続ける秘密

「全国に出る」ことは最初から目的ではない
――今でも日本のサッカー界には結果は選手権、インターハイに出て勝つことだという風潮があります。しかし育成が先ですよという考えに行き着くのはすぐでしたか?
そこはすぐでしたね。大阪で勝つことを目的にしたら、軍隊的になるのは目に見えていました。自分は高校時代に厳しい指導を受けて、都道府県のトレセンクラスの選手がいてもひとりか二人しかっていうチームが、めっちゃ強かったです。ところが本当にサッカー好きだった連中がことごとく高校卒業と同時にサッカーを離れていったんです。
僕はおたく気質なんで色んなことを勉強していくと、「サッカーが強い国の人たちってサッカーが好きなんだ」ということに気づきました。僕の同級生はサッカー好きなんですけど「もうサッカーはええわ」となってしまったんです。選手権ベスト4までいっているのに、プロになった数人とJFL(当時)の愛媛FCにいった僕らを除いて大学で活躍した人がほとんどいないんです。勝とうと思ったら、僕らが高校で教わったことをやれば結構勝てるんちゃうかなと思っています。
大学のゼミでサッカーの勉強をして、卒論もサッカーについて書きました。さまざまな勉強をする中で考えついたのは、日本に文化としてサッカーが根付くためには、年を取ってもサッカーをプレーする人が増えないといけない、ということなんです。長い距離を走って、飛んで、身体能力でサッカーをしていた人たちは、40歳になったら高校生のようにサッカーはできません。しかしボール扱いの上手いセルジオ越後さんのような人は、多分60歳になっても球遊びをして、子どもと遊べるんじゃないかと。
勝つことよりも育成に重きを置く。育成に特化しているチームが当時の大阪にはなかったんです。興國が勝つことを目的にしても、うちに選手はこないだろうな、と。野洲(滋賀県)がなんで野洲になれたかというと、多分どこもやってないことをやったからでしょう。だから大阪でどこもやってないことをしようと。最初から、全国に出るというのは目的ではなかったですね。
――興國の選手は個性的だとよくいわれますが、個人的には内野さんのパーソナリティに負う部分も大きいと感じます。内野さん自身は高知大学を卒業後に当時まだJ2のない時代にJFLの愛媛FCでプレーすると同時に、社会人として働いていた経験もありますね。
トヨタの四国の販売店で仕事を学びました。そこで感じたのは、普通に街乗りするだけでは、車の性能はどのメーカーも大差がないということなんです。でも日産が好きな人、ホンダが好きな人にどうやってトヨタの車を買ってもらうか。それは結局カスタマーサービスであって、そこで差別化を図る。他と同じことをやっていては、誰も買ってくれない。それはサッカーにおいても同じで、人と同じことをやっていても選手は育たないんです。
――なるほど差別化ですね。おぼろげながら形になったと思えたのは、何年目くらいからでしょうか?
監督になって初めて声を掛けて口説き落とした選手が卒業後もサッカーに関わってくれていたので、それが3年目ですかね。ひとりは公立の学校でサッカー部を教えていますし、10番をつけていた選手は阪南大にいって、ヨーロッパにいってからやめて日本に帰ってきましたが、もう一度サッカーしたいからと、オーストラリアにこないだ渡りました。あとは小学校の先生になっても社会人サッカーで自分がプレーしていたり。
大学を卒業しても、サッカーに関わり続けている人数が、僕の高校の同級生よりも多いんです。もちろん僕らの時代は、今ほど選手を欲している大学のサッカー部が少なかったという背景もあるのですが。

【興國高校サッカー部を率いる内野智章監督(写真●吉村憲文)】
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