「この経験は財産になる」。“女子サッカー大国”アメリカでプレーすることで広がる「選手としての可能性」【1月特集】

2019年02月08日

育成/環境

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【現在はアメリカ・オクラホマ大学に所属する黒崎優香選手(写真●中澤捺生)】

専門分野コーチがコンディションを見てくれる

——アメリカでは、アスレティックトレーナーやフィジカルコーチ、ストレングスコーチは大学にいるのか、それとも各部にいるのか、どちらでしょうか?

黒崎選手「監督がいて、コーチが2〜3人いて、アスレティックトレーナーが2人います。基本的にスタッフはフルタイムジョブですが、トレーナーは大学院生がやったりもします。1年中シーズンを行っているスポーツはありませんので、例えば、トレーナーの勉強をしている大学院生が夏はサッカー部、冬はテニス部といった感じで担当してくれています。コンディショニング、ストレングスのコーチも同じようにいくつかのスポーツ部を兼任していることが多いと思います」
 
——なるほど。大学院生にとっても実践の場などになっているわけですね。きちんと専門分野のエキスパートがフルタイムでいるなか、大学院生も担当している、と。いずれにしろ専門分野の人に相談できるのは非常にいいことです。
 
黒崎選手「筋トレなどのトレーニング施設は無料です。日本の大学のことはわからないですが、選手もトレーニング器具の使い方を知らない方は多いのではないでしょうか。『どこを効かせる』など細かい部分はわからないでしょうし、どのタイミングで重りを加えるなどのことも知らないことも多いはずです。アメリカではコンディショニングコーチがすべてメニューを作って渡してくれます。当然、メニューは理由をもって作成しているものです。『この日はこれ、この日はこれ』と約1時間で終わるものですし、ダラダラとトレーニングも行いません。シーズンオフの1月から週3くらいでやります」
 
——話を聞くほど環境面の違いが浮き彫りになります。データ分析などはいるのでしょうか?
 
黒崎選手「私たち女子サッカー部はパス成功や走行距離などトラッキングとしてデータが出ます。日本のプロ選手と同じようなことを大学生で経験できています」
 
——日本だと、そういうことを学生で経験した選手は稀ですよね。
 
黒崎選手「個人でもデータベースのアカウントを教えてもらっているので自由に見られますし、疑問があれば分析を担当している方に質問します。8月のオフ期間中でも、スポーツサイエンスの専門家がトレーニングメニューを作って送ってくれます。スプリントを何十秒何本とか。フィジカル的なところは自分だけではわからないこともたくさんあるので、そういう専門家が教えてくれることは非常にありがたいです。もちろん、各チームによって様々だとは思いますけど」
 
——実際にレベルアップしている実感はありますか?
 
黒崎選手「1年目より2年目の方が、レベルが上がったという実感はあります。スポーツサイエンスの専門家のコーチに作ってもらったトレーニングメニューをやったから長い距離を走ることができるようになりました。だから、余計にその重要性も理解できます。実際にフットネステストでは、1年目より2年目の方が数値は上がっています。シーズン前にフットネスレベルが上がっても、シーズン後には下がっていますし、データからもカンファレンス中はいかにハードかが結果として出ています。
 
 だからといってシーズン中に走りのトレーニングを多く取り入れられるかといえばオーバーワークになるので、やはり疲労をとるようなリカバリーの方が重要です。アイスバスに浸かったり、電気マッサージを使ったり。中2日での試合はかなりハードです。2試合目は1試合目とは動きが異なります。空いている時間にどれくらいリカバリーを徹底できるかが重要です。
 
 それに木曜がホームでも、日曜日がアウェーなら前日には移動が入ります。飛行機の移動が多いですが、たとえバスであっても疲労は抜けないし、ホーム&アウェーの難しさは実感しています。それこそケガをしたらシーズンが短いので、ほぼシーズンを棒に振ってしまいます。だからこそリカバリーの重要性を知っておかなければなりません」
 
——リカバリーに関する講習会はあるのですか?
 
黒崎選手「チームでだいたい何をするかは決められています。試合後は10分アイスバス、フットバブをして疲労回復に努めるとか。試合の翌日はマッサージしてくれる方がいて、30分やった後にグラウンドで軽いジョグをしたりします。リカバリーはかなり徹底されています。部分的に痛いところがあればトレーナーがしっかりとマッサージをしてくれます」
 
——食事面はどうですか?
 
黒崎選手「日本ほど気を使っているかと問われたらわかりませんが、プロテインは摂るように言われています。ウェイトルームの隣にニュートリションルームといってプロテインを摂れる部屋があります。プロテインのドリンクやバーがあり、『タンパク質をどれだけ摂取したらいいか』もきちんと教えてくれます。シーズン中は『これだけ必要』とか」
 
——普段の食事はどこで摂っているのですか?
 
黒崎選手「シーズン中、朝はロッカーにラウンジがあって軽くパンやヨーグルトなどが用意してあります。学内には、学生アスリートだけが食べに行けるレストランがあって、栄養面を考えた食事ができます。そこは一般の学生が使用することはできません。一般学生が使うレストランは別にありますが、そこは学生アスリートも利用することができます。私の場合、1年目は寮生活で、2年目からアパート暮らしだったので、もちろん自炊をしていた時もありましたが、回数は少なかったです」
 
※続きは2月13日(水)掲載予定です


<プロフィール>
黒崎 優香(くろさき ゆうか)

福岡県北九州市出身の21歳。兄の影響でボールを蹴り始め、4歳の頃からサッカーチームでのプレーをスタート。小学生の頃は地元のクラブ「神理FC」に所属し、男子の中に混ざってプレー。中学時代は地元クラブの「ニューウェーブ北九州レディース」に入団しナショナルトレセンにも選出される。高校時代は藤枝順心高校に進学し、2013年には現なでしこジャパン監督の高倉麻子氏のもと、U16日本代表に選出されてコスタリカ遠征を経験。高校最後の全日本高等学校女子サッカー選手権大会では優勝を果たしアメリカ・ケンタッキー大学にサッカー留学し2019年からオクラホマ大学でプレーする。


【1月特集】女子サッカーを見つめる

 

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