「目標」よりも「企画書」をもつ。スポーツ心理学からみるノート活用術
2019年03月31日
メンタル/教育スポーツや勉強では、しばしば目標を持つことの重要性を説かれる。しかし、「企画書を持つ」ことが大切だと主張するのは、エディ・ジョーンズ氏が率いる15人制ラグビー男子日本代表のメンタルコーチを務めた荒木香織氏。今回は、目標に向けたガイドラインを作る必要性を、新刊『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』から学びます。
著●島沢優子 写真●ジュニサカ編集部
『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』より一部転載
「しっかり」を具現化する
「目標を持ちなさい」
親や教師はそう言って、よく子どもを戒める。
しかし、スポーツ心理学では「目標を持つ」よりも、「企画書を持て」が適切だという。
県大会出場とか市大会優勝といった「結果」を、目標におきがちだが、何かを達成するための企画書を考え、それを実行していくことに目を向けたほうがい。
「目標は自分が何かを成し遂げるために楽しく取り組めるガイドラインだと考えてほしい。多くの人が優勝などの目標設定はするけれど、そのガイドラインをつくれていません」
それゆえに、ノートなどで「これは何のために」「どうやって」行うかといったミニ企画書をつくるのが有効だろう。
そのようにノートと向き合っていれば、おのずと方法論は明確になる。スポーツの現場では「しっかり」「意識しよう」「ちゃんとやろう」「頑張ろう」といった、あいまい言葉が出現しがちである。
「そこをノートのなかで、具体化するわけです。何に意識を向けるか、集中するのか。それはどの程度かをハッキリさせるためにノートは活用できます」
指導者も同じことが言える。特に、指導現場に行くと「しっかり」が頻出していることがわかる。「しっかりやれ」「しっかり見て」「しっかり食べろ」などだ。頭の中にガイドラインを描く準備が必要なのかもしれない。
加えて、「いつまでに」といった達成する期限もつける。やりながら、達成可能かどうかを確認し、企画書を作り直す勇気も必要だ。
そのなかで「やりすぎない自分を評価すること」が重要だという。無理をすると継続できない。
「ガイドラインや目標設定が合っていれば、けがや故障なく練習できるはず。故障や精神的にバーンアウトの兆候があれば、ガイドラインはつくりなおしたほうがいいでしょう」
その際、前述したように「敗戦や失敗を経験としてとらえる」ことが肝要だ。
荒木は「失敗必要論」を訴えるとき、マイケル・ジョーダンの言葉を引用する。
「私は9000本以上のシュートを外し、約300試合に負けた。試合を決めるウィニングショットを任され、26回外している。人生で、何度も、何度も、失敗した。だからこそ私は、選手として成功することができたのだ」
トーマス・エジソンが新聞記者に「1万回も失敗を積み重ねたのに、なぜ挫折することなく研究を続けることができたのか?」と尋ねられたときの言葉もよく知られる。
「私は失敗などしていない。1万通りのダメな方法を見つけただけだ」
失敗したら、それを認め、どうすればいいか。次に向けて、どう準備すればいいか。
そこを考えるのが、選手及び指導者のインテリジェンスなのかもしれない。
<プロフィール>
荒木香織(あらき・かおり)
京都市出身。日本大学文理学部卒業後、スポーツ心理学を学び米国の大学院で修士、博士課程を修了。エディ・ジョーンズ氏に請われ15人制ラグビー男子日本代表メンタルコーチを2012年から2015年ラグビーW杯イングランド大会終了まで担当。著書に『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』(講談社+α新書)。(株)CORAZONチーフコンサルタント。
3月に発売となった『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』では、伊藤美誠(卓球)、早田ひな(卓球)、朝比奈沙羅(柔道)ら、10代から世界を舞台に活躍する選手のノートの内容から『書く、話す、伝える』と賢さ(インテリジェンス)、パフォーマンスの相関関係に迫っています。
【商品名】世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス
【著者】島沢優子
【発行】株式会社カンゼン
【判型】A5判/224ページ
【価格】1,600円+税
【発売】2019年3月18日発売
アスリートたちが綴るノートの役割を脳科学の視点から分析しながら、何人ものトップコーチ、選手とともに「アスリートのインテリジェンス」を追求。世界の頂点を目指す人たちがノートとともに成長する物語を味わいつつ、主体性の処方箋を得られる一冊。
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